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第132号(2025年12月)資本市場・企業統治研究会特集号

経済政策不確実性と企業ディスクロージャーが株価同期性に与える影響

阿萬弘行(関西学院大学商学部教授・当研究所客員研究員)
森保洋(西南学院大学商学部教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕

 本研究は,経済政策不確実性(Economic Policy Uncertainty:EPU)が株価同期性(Stock Price Synchronicity:SPS)に与える影響と,その関係における企業のディスクロージャーの役割を,日本の上場企業を対象に実証的に検証したものである。分析には,2012年から2022年までの東証1部上場企業を用い,日本版EPU指数および企業ディスクロージャーを組み合わせ,パネル回帰分析を行った。分析結果から,EPUはSPSに対して有意に正の影響を及ぼし,EPUの高まりが市場全体の株価連動性を強める,すなわち企業固有情報が株価に反映されにくくなることが確認された。一方,企業によるディスクロージャーはSPSを有意に低下させ,市場の情報効率性を高める効果を持つことが示されたが,その効果はEPUが高い局面では有意に弱まる傾向がみられた。加えて,EPUを政策カテゴリ別に分解して検証した結果,特に通商政策および為替政策の不確実性がSPSを高める主要因であることが確認された。本分析の主要な結果はCOVID-19のパンデミック期を除いたサブサンプル分析,EPUの内生性を考慮した2段階最小二乗推定でも同様の傾向が確認され,結果の頑健性が示された。

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タグ

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