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第130号(2025年6月)

確定拠出年金と金融教育,金融リテラシー
~Causal Forestによる投資家の行動分析~

林田実(熊本学園大学経済学部教授)
大野裕之(東洋大学経済学部教授)

〔要 旨〕

 本稿では,確定拠出年金(DC)への加入・非加入に対して,金融教育,金融リテラシーが影響を与えているか否かについて,最新の機械学習の手法であるCausal Forest(CF)を用いて分析した。具体的には,日本証券業協会実施の『個人投資家の証券投資に関する意識調査』2019~2021調査のデータを用いて,CFによる因果推論解析を行い,金融教育の効果のみならず,効果の異質性についても解析した。その結果,企業型DCの加入・非加入については金融教育の効果を全体として検出できた。また,iDeCoへの加入・非加入については,企業型DCに比べると弱いながらも,金融教育の効果は観測できた。また,金融教育の効果の異質性については,企業型DCにおいて,金融資産総額,時間選好率,リスク回避度,NISA利用の有無でわずかに見られたが,それは3年間をとおして一貫して見られるものではなかった。iDeCoにおける金融教育の効果の異質性はリスク回避度,年齢,時間選好率,金融リテラシーにおいて発現しており,時間選好率を除いて解釈可能であった。特にリスク回避度の異質性は顕著であった。

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