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第101号(2018年3月) 株式市場研究会特集号(上)、福田徹氏追悼号

IRベストプラクティス・ガイドライン(ウェブサイト編)の進展

米山徹幸(埼玉学園大学大学院経営学研究科客員教授)

〔要 旨〕

 英国IR協会(IRS)は「IRベストプラクティス」として,2001年から「ウェブサイト」,2006年から「アニュアルリポート」のガイドラインを作成し,このガイドラインに沿った「ベストプラクティス賞」も発表している。このウェブサイトのベストガイドラインは,関係する法規制の施行や改正,IR関係者などの提言を踏まえ,毎年の更新を重ねた後,この10年間に4回大きな改訂を行ってきた。
 本論は,ウェブサイトのガイドラインが始まった2001年当時の「主要な方針」,「ベストプラクティス・スタイル」,「サイト・コンテンツ」,「考慮したい点」の内容が直近の改訂が行われた2013年版でどのような内容に変貌していったのかについて概括する。それは,ウェブサイトで企業が自らをどうのように説明してきたのかをIRSのベストガイドラインを通じて追うことでもある。
 2001年当時,ウェブサイト・ガイドラインの「主要な方針」は14項目であった。それが2013年版で16項目となっている。この12年間で,(1)記載内容がほぼ同じ(3項目),(2)ほぼ同じ内容で,追加的記述があるもの(5項目),(3)他の項目と統合したもの(4項目→2項目),(4)記載リストから外れる(2項目),(5)新たな記載(6項目)という5つに類別され,それぞれを検証する。
 また法規制について,利用者の利便を意識したユーザビリティ(使いやすさ)やアクセシビリティ(アクセスのしやすさ)は「平等法」(2010年)の施行もあり,その記載は大きく変わる。また個人情報保護に関連する「クッキー法」(2011年)に関して,ガイドラインは対応し,さらに,急速な浸透の「ソーシャルメディア」を「コミュニケーションとマーケティングに対して根本的な変化」をもたらしていると位置づけ,ガイドラインを発表した。また,この12年間の改訂において,コンテンツでもっとも注目される「投資ケース」や「CR(企業の責任)」,「考慮したい点」を取り上げる。
 そして,ウェブサイト・ガイドラインが示す「コンテンツ」「双方向性」「アクセスビリティ」「機能性」などの要点を明らかにする。
 2001年に始まった「ベストプラクティス賞」は2017年で17回を迎え,いまや欧州IR業界の最大イベントである。各賞には英国企業ばかりでなく「インターナショナル」という部門があり,その審査のベースとなるベストプラクティス・ガイドラインは,英国はもちろん,欧州各社にとってもIR活動の指標としての役割を担っているといっていい。インターナショナル部門で受賞を重ねるドイツ化学大手BASFが先例となっている。
 つねに更新されるベストプラクティスの推進こそ,IRSが掲げるミッションである。これをガイドラインの作成と更新,ベストプラクティス賞の発足と運営で,毎年,その先端を示すことで,IRSのリーダーシップは高く評価されてきたのである。

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