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第66巻第8号(2026年8月)

〔講演〕いわゆる「給付付き税額控除」の誤解と理解

林 正義(東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授)

このたびは講演の機会をいただきまして、ありがとうございます。当然のことながら研究者の間では発表は頻繁に行っているのですが、このような機会はそう多くはございません。不慣れでございますけれども、よろしくお願いいたします。

皆様がどれくらい関心をお持ちか少々不安ではありますが、本日は、今年になって比較的よく報道されている給付付き税額控除についてお話ししたいと思います。

1.日本で「給付付き税額控除」と呼ばれるものとは?

ご存じのとおり、給付付き税額控除の導入に向けて社会保障国民会議が設置され、議論が続いています。今年2月に親会議が開かれ、3月以降、実務者会議(政府及び各党の実務者)と有識者会議(政府関係審議会委員、地方界・経済界等からの委員)で定期的に議論・検討されています。内閣府にはウェブページが設けられ、各会議の議事録及び配付資料もオープンになっており、検討の内容や経緯を細かくたどることができます。

では、なぜ給付付き税額控除を導入するのか。図表1の高市総理の発言を見ると、二つの目的があることがわかります。「中・低所得者の負担軽減」と「所得に応じた手取りの増加」です。加えて、マスコミの報道でしばしば目にするのが「インフレ対策」です。ただし、これは政府が正式に明言したものではないようです。

図表1

図表1

そもそも政府は「給付付き税額控除」をどのようにとらえているのでしょうか。国民会議で提示された資料を見ると、かつての政府税制調査会、税制改正法附則、税制改正大綱などに記された表現を使ってさまざまな説明がなされています。

政府税制調査会「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」(平成19年11月)においては、「給付付き税額控除」とは、「給付と組み合わせた税額控除」で「課税最低限以下の低所得者に対して、税額控除できない分を給付するという仕組み」と記されています。

その一方で、平成21年度税制改正法附則では、「給付と税額控除を適切に組み合わせて行う仕組み、そのほかこれに準ずるもの」としています。さらに財務省による「平成21年度税制改正の解説」では、この「給付と税額控除を適切に組み合わせて行う仕組み」という定義につき、「既存の給付措置を活用してこれと税額控除を組み合わせるケースも含む」とし、そして「これに準ずるもの」については、「例えば一律の給付措置も含まれると解されるなど幅広い手法が考えられる」と解釈しています。

しかし、そうであるならば、給付である限り何でもありになり、税額控除を利用しない場合でも給付付き税額控除になってしまいます。また、海外では所得者を対象にした制度が中心的ですが、ここでは「低所得者」と所得者が入っています。結局、何のことかわからないということで、国民会議に参加している一部の方からは改名を求める声も上がっているようです。しっかり軸を据えた概念の整理をしないと、従来の給付制度とどう違うのかということにならざるを得ず、そのような発言を耳にするのも自然な流れだと思います。

そこで、大半の方はご存じかもしれませんが、そもそも「給付付き税額控除」と呼ばれる制度について復習したいと思います。これは、先ほどの政府文書にある定義とは必ずしも一致しません。

この「給付付き税額控除」とは、英語圏で言うrefundable tax credit(RTC)の日本語訳です(図表2)。元財務省主税局の森信茂樹氏によると、1990年代に、当時の民主党から、後述するカナダの「消費税クレジット」に関する国会の事前質問があったときに財務省主計局がつけた和訳のようです。さらに現在でも、法人税法施行令第155条の18第2項第12号にqualified refundable tax creditの和訳として「適格給付付き税額控除額」という言葉があります。この「適格(qualified)」云々は、グローバル・ミニマム課税(多国籍企業に最低15%の実効税率を課す制度)との関係で制定が必要となった概念のようです。いくつかの国では法人所得課税においてRTCを適用しており、特に環境に優しいクリーンエネルギー関連投資にかかる税額控除に多用されているようです。そして、それが「適格(qualified)」か否かで、グローバル・ミニマム課税にかかる実効税率の算定方法が変わるという取り決めになっているようです。いずれにせよ、この用語は法人所得課税におけるRTCを前提とした規定において利用されています。

図表2

図表2

つまり、日本の税制では既に「給付付き税額控除」は正式な用語として用いられており、それは英語圏で言うRTCの和訳として理解できます。しかしながら、国民会議で語られている「給付付き税額控除」は、RTCとしての本来の意味では使われていないように見えます。既述のようにRTCは法人に対する投資税額控除にも利用されますが、国民会議やマスコミの議論では、個人所得課税のみを念頭に置き、かつ中低所得者対策に限って議論しているという点で、本来の意味より狭く解釈しているようです。その一方で、本来のRTCは税額控除の一形態であり、その定義上、それが適用される税目内に設置される制度であるにもかかわらず、日本における「給付付き税額控除」という言葉の使い方としては、先ほど申し上げたように、個別の給付と組み合わせたり、税制を用いない給付のケースもあり得たりするという設定をしています。この意味では、本来の意味より広く解釈していると言えます。こういった言葉の使い方が、妥当でない議論や意味のない混乱を生んでいるのだと思います。

2.本来のrefundable tax credit(RTC)の意味

そこでまず、「refundable tax credit(RTC)」の「credit」とは何か、そして、なぜ「tax credit」が「refundable」なのかについて詳しく説明していきたいと思います。

日本語で言う「給付付き税額控除」の本来の意味がよくわからないのは、日本語の「税額控除」が「tax credit」に対応し、それゆえ「refundable」を「給付付き」と訳してしまったからでしょう。ここで「refund」とは、一般的には「払い戻し」、もしくは税務の言葉を使うと「還付」を意味します。したがって、「refundable tax credit」を直訳すると「還付可能な税額控除」もしくは「還付型の税額控除」となりますが、この日本語表現では「なぜ税額控除が還付可能なのか」という疑問が起こり、ぴんときません。したがって、苦肉の策として「refundable」を「給付付き」と訳してしまったのでしょう。

ここでのポイントは、「refundable」なのは「(tax)credit」であるということです。では、そもそも「credit(クレジット)」とは何を意味するのでしょうか。英語の「credit(クレジット)」には複数の意味がありますが、ここでの文脈では、それは「何らかの行為を行う権利」を意味し、それが示す数量は、その行使できる権利の度合いを表すものとなります。日本語でも、例えば、ゲームセンターでゲームを1回プレーするために購入する権利のことを1クレジットと言ったりします。また、文脈は異なりますが、排出権取引制度でも「カーボンクレジット」という言葉が用いられ、そこでの1(カーボン)クレジットは、排出できる二酸化炭素の特定のトン数を表しています。

このような「credit(クレジット)」の用法が頭に入っていれば、「tax credit」とは「納税に利用できるクレジット」とすんなり理解できます。そして、それが表す具体的な金額は、「納税の際に現金の代わりに利用できる金額」を表していることを理解するのは難しくないでしょう。例えば、納税者が5万円のtax creditを政府から付与されれば、納税の際にその5万円のクレジットを現金の代わりに使ってよいことになります。これによって、納税する金額が利用したクレジットの分だけ減る、すなわち控除されることになります。

日本語ではこの点に着目して、この税額が減ることを強調した「税額控除」という用語になっているわけです。ただし、この訳に関しては、英語圏において「tax credit」という制度概念が先にあって、それを参照して後から和訳したものかどうかは定かではありません。この点については十分に調べ切れていないのですが、ルールに従っていったん決められた税額を一定程度減免するというのはどの国でも考えつく政策だと思われますので、「tax credit」という名称を参照することなく「税額控除」と呼ばれる制度が日本において考えられたのかもしれません。

いずれにせよ、英語で言う「tax credit」とは、納税者が利用できる政府発行の権利であり、納税する際に現金の代わりに利用できるものとして理解できます。なお、以下では、税額控除の金額を「クレジット額」とよぶことにします。

税額控除は納税の際に現金の代わりに利用できるものですから、税額控除の利用においては、税額とクレジット額の大小が問題となります。図表3の左側の図のように、「税額>クレジット額」の場合、実際に納税する金額は税額と税額控除の差になります。ここではクレジット額を全部使い切ることができるわけですが、反対に、図表3の右側の図のように「税額<クレジット額」となる場合、現行の日本の制度では、所得税でも法人税でも、単に税額がゼロになるだけです。これが従来の非還付型の税額控除(nonrefundable tax credit)です。図表4は、日本の税制における税額控除の制度を、所得税と法人税に分けて並べたものです。

図表3

図表3

図表4

図表4

それでは、これがrefundable(以下、「還付型」と和訳)だったらどうなるのでしょうか。前に申し上げたように、「税額>クレジット額」であるならば、クレジット額を使い切ることになります。しかし、「税額<クレジット額」であれば、図表4の左側や図表5の右側に描かれているように、未使用のクレジットがあります。これが示すのは、本来なら現金の代わりに利用できる権利の一部が、税額が低いために使われていない状態です。実際に、RTCを用いているアメリカやカナダの税法では、tax creditを既に納付した税とみなすという設計になっています。アメリカの内国歳入法典では、図表5の左側における「未使用のクレジット」もしくは同表の右側における「還付=給付額」の部分に当たる部分をexcessive payment(過納付金)と明示的に規定していますし、カナダのIncome Tax Actでは、tax creditの金額自体を擬制的に納税額(の一部)としてみなしています。

図表5

図表5

したがって、税務当局は、tax creditの未使用分を過剰な課税(過納付)とみなして、その過剰に税金を支払ったと擬制する部分を返金、つまり、「還付(refund)」するわけです。これは、例えば、ある商品を購入したのに使わなかった場合、一定期間内ならサービスセンターへ当該商品を持っていけば返金してくれるのと同じように、行使していない権利(未使用クレジット分)を税務署に行って返金してもらうというイメージです。つまり、ここでの未利用の権利の行使は「過納付金の還付」という形式で行われ、結果として、実際はその分が「給付」されることになります。

このように「クレジット(credit)を払い戻す(refund)」という表現を用いるのが自然なように、RTCをクレジットとして理解するとわかりやすいのですが、日本ではtax creditに相当する仕組みを「税額控除」という言葉で表現するために、「なぜ税額控除が還付されるのか?」と違和感が生じるのでしょう。その結果、結局、お金を「還付」することは「給付」だということで「refundable tax credit」を「給付付き税額控除」と和訳したのだと思います。しかし、そもそものクレジットの意味を前提にすると、私自身は「給付付き・給付無し」という和訳よりも、「還付型・非還付型」という和訳にすべきと思いますが(私自身による最近の教科書ではそのような表現を用いています)、これだけ広く「給付付き税額控除」という和訳が定着していることを考えると、いまさらこの和訳を変えることを主張するのは若干無理があるのかもしれません。

いずれにせよ、未利用の納税用クレジット(tax credit)を払いすぎた税金とみなし、その分だけ還付するというのがRTCの仕組みです。日本ではRTCと名乗った実際に利用されている仕組みはありませんが、あえて言えば(もちろん、異論もあるかもしれませんが)、消費税における仕入税額控除がそれに相当することになります。例えば、輸出業者は物品を海外へ輸出するため、販売先から消費税を徴収することができません。しかし、国内から仕入れた商品には消費税がかかっているので、「購入者から預かった消費税額(=ゼロ)-仕入税額控除(=仕入れ先に支払った消費税額)」がマイナスとなり、その分が還付されます。また、法人税に関しては、先ほど申し上げたとおり、法人税法施行令の「適格給付付き税額控除」はqualified refundable tax creditの和訳ですから、日本での実際の制度としては存在しないにしても、法規においては本来のRTCの名称と概念は存在しています。

3.カナダとアメリカの例

現在の国民会議における議論を眺めると、「給付付き税額控除」という名称をもつ、その給付額(クレジット額)が個人所得に連動した何らかの単一の制度をつくることを前提に議論が進められているような印象を受けます。しかし、そのような制度はひとつである必要はありません。RTCを多用しているカナダやアメリカでは、個人所得課税といった単一の税目内でも目的に応じて複数のRTCが存在していますし、さらに個人所得課税だけではなく法人所得課税においても目的に応じて複数のRTCが存在します。

図表6はカナダの連邦政府による個人所得課税におけるRTCについてまとめています。その中でも特に有名なのはGST/HST Credit(消費税クレジット)です。これは消費税の逆進対策として低所得者に一定金額を還付する制度で、日本でもよく言及される制度です。この制度は、今年7月からCGEB(Canada Groceries and Essentials Benefit)という名称に変わるとのことです。新しい名称には「Credit」ではなく「Benefit」という言葉が使われていますが、RTCの仕組みはそのままで、給付額(クレジット額)を拡大した改正として説明されています。なお、カナダでは別途、就労促進的なRTCとしてCWB(Canada Workers Benefit)がありますが、こちらでも「Benefit」という言葉が使われています。

図表6

図表6

カナダでは、連邦政府の法人所得課税において一部の投資税額控除をRTC化しています。特に、環境に優しいクリーンエネルギー化を伴う設備投資に対しては、複数のRTCが用意されています。

図表7はアメリカにおける連邦の個人所得課税でのRTCについてまとめています。アメリカのRTCのうち有名なのはEITC(Earned Income Tax Credit)と呼ばれる、日本では「給付付き税額控除」の代名詞のように理解されている制度です。EITCは、特に低所得者に対して、時間当たりの稼得所得が増加するような仕組みがとられています。したがって、就業しなければ給付(還付)されることはありません。そのほか、子どもの数に応じてクレジットの金額が増えるCTC(Child Tax Credit)や、民間の保険料に対して補助を行うPremium Tax Creditもあります。

図表7

図表7

アメリカでの法人所得課税における税額控除は、そもそもは非還付型ですが、それを実質的にRTCに変える制度があります。Elective Payという独自の制度を追加することで、既存のクリーンエネルギー関連投資にかかる税額控除を、カナダの場合と同様の還付型の税額控除に変えています。ただしこの制度は、原則的に非営利法人や公的機関を対象とした制度です。営利法人でも時限的にElective Payを利用できるようですが、それとは別にTransferabilityという制度が用意されています。この制度の下で企業は、(税額が低いため)使い切れていないクレジットをほかの企業に販売できます。この未使用のクレジットが額面以下の価格ならば、クレジットを使い切ってもなお納税しなければならないほかの企業が購入することになるでしょう。ここでは、必ずしも本来のRTCと同等の効果があるとは限りませんが、クリーンエネルギー関連投資を促進する効果は期待できます。

ここまで申し上げてきたことをまとめると、まず、還付型であろうと非還付型であろうと、税額控除は税法によって規定され、税務当局によって執行されます。したがって、RTCは税制内に設置される制度だということです。次に、RTCは税制上の技術的な性質を表す言葉であり、その目的や税目からは独立しています。カナダやアメリカの例でみたように、RTCは複数の税目にわたり、目的に応じて各税目内に複数設置されています。例えば、個人所得課税といった単一の税目のなかに、収入の壁対策用のRTC、低所得者の就労促進用のRTC、あるいは消費税の逆進対策用のRTCなど、複数のRTCが存在してもよいということです。

4.RTCと給付の等価性

次に指摘したいのは、RTCと給付の等価性です。低所得者の可処分所得を増やしたいのであれば、必ずしもRTCを使う必要はなく、給付でも可能です。

皆さんはすでにご承知だと思いますが、念のため確認させてください。税額控除がある場合の可処分所得は

可処分所得=収入-(税額-税額控除)

と表せます。この税額控除が非還付型(nonrefundable)であれば、税額が税額控除よりも低い場合、税額控除を全て使い切れず、(税額-税額控除)の部分はゼロとなります。それに対し、還付型(=refundable)である場合、(税額-税額控除)がマイナスとなり、そのマイナス分は還付されるので、この数式から括弧をとった表現をそのまま使うことができます。つまり、

可処分所得=収入-税額+税額控除

となります。ここで(税額-税額控除)の部分にはマイナスの符号がかかっていますので、この括弧を外すと税額控除にかかる符号はプラスになるわけです。

一方、税額控除を利用する代わりに現金給付を受ける場合、可処分所得は

可処分所得=収入-税額+現金給付

と表現できます。最後の2つの式からわかるように、RTCと現金給付の金額が等しければ、可処分所得は同じになります。つまり、クレジットと現金給付の金額が同じならば、RTCを使おうと現金給付を使おうと、同じ可処分所得を得ることができます。言い換えると、お金をあげることに変わりはないのですから、低所得者の可処分所得を増やしたいのであればRTCでも現金給付でもいいわけです。したがって、低所得者対策にRTCを使わなければいけない理由は、その実施に要する費用など、別のところにあると言えます。

実は、RTCと同じことは、2年前の「新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」によって実施されています。当時の政権は減税に強いこだわりを持っていたようです。そのため、実際に「減税」として実施されたのですが、当然、税金が減税分より少なかったり、税金を払う必要がなかったりした人々には十分な恩恵はありません。そこで、図表8のとおり、一定所得以下の人たちには給付が行われました。同図表における右下の台形は税金を払っている人に適用する減税額です。税額以上の減税は不可能ですから、ここでの減税は非還付型、つまり、従来型の税額控除と同じ効果をもっています。つまり、この図表で「定額減税」と表されているものは、非還付型税額控除と同じ効果をもっています。ここで、中央下部の右【4】の「定額減税しきれない人」は、減税前は納税しているものの、所得が低くその納税額が減税額より低い人々です。そのような人々は、この減税額と納税額の差に応じた現金が給付されました。また、【1】から【3】の人たちは納税義務がない人々に相当します。これらの人たちには定額の給付を行っています。

図表8

図表8

図表9は国民会議の資料として配付されたもので、この「新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」の際に、どこがどのような情報を使って給付や減税の事務を行ったかをまとめたものです。この作業は、年に1回ではなく数回に分けてやられたので給与事務担当者の負担は想像に難くありません。給与所得者の場合は源泉徴収義務者である雇用主が事務を担いました。一方、給与所得者以外の人々の場合は自治体が当該事務を担いましたが、これにかかる事務負担も相当なものだったでしょう。なお、この苦い経験から、自治体は、給付付き税額控除の給付事務負担について拒否反応を示しているようです。この資料は2年前のご苦労をよく表すとともに、これからの「給付付き税額控除」の実施において、このようにさまざまな情報が必要であることを示す良い資料だと思います。

図表9

図表9

いずれにせよ、この実施方法は非常に面倒なものでしたから、単に一定金額を給付したほうが合理的ではないかと思ってしまいます。つまり、納める税金には手をつけず(=減税は行わず)、図の高さに相当する現金を給付すれば皆同じ可処分所得を達成できます。この場合、源泉徴収義務者は全く仕事をする必要はなく、既に何度も定額給付の事務を経験している自治体にとっても、その事務負担も最低限に抑えることができたはずです。

繰り返しになりますが、RTCが各個人の可処分所得に与える効果は、ほかの手段を用いても再現できます。従来型の現金給付のほうがやりやすいのであれば、わざわざRTCという制度を選択する必要はありません。

5.低所得者支援としてのRTC:その利点

次に疑問として出てくるのは、同じ効果をもたらす現金給付と比べて、RTCの利点は何なのかということです。当然、従来の方法と比べてRTCに利点があるから、従来の給付ではなくRTCを使うという議論でなければ、合理的な説明にはなりません。

以下では低所得者支援に限って話を進めます。RTCの要点は、税額控除である故に、税制を通じて税務当局が給付できることです。通常、低所得者支援は福祉当局によって行われますが、福祉当局ではなく税務当局が給付する利点は、通常、2つあると考えられます。

一つは捕捉の拡大です。例えば、生活保護のような給付を受ける場合、自ら福祉事務所へ行って申請する必要がありますし、申請が受け取られた後でも、嫌な顔をされながらあれこれ資産状況を探られ、通常はすぐには給付してくれません。また、そのような福祉給付を受けることを「恥」と思う人もいるかもしれません。したがって、福祉当局からの給付はスティグマ(恥辱)を受けているようで嫌だと受給を控える人が一定程度存在するでしょう。一方で、RTCを通じて税務当局が還付をする場合、自動的に特定の方式に従って所得から給付額を算定し、税務署に届け出ている口座に振り込んでくれることになるでしょう。このような税務当局による還付であれば、そうしたスティグマによる受給控えもなく給付を行うことができるでしょう。

もちろん、このような税務当局による給付(還付)は、カナダやアメリカのように、給付を受けるべきもの全員が確定申告をしていることが前提となります。このように全員が確定申告を行っている場合、次のような二つ目の利点もあります。それは給付費用の抑制です。確定申告によって提示される所得が正直なものかどうかは別として、全員が確定申告を行う場合、税務当局には給付に必要な所得データが存在することになります。したがって、所得に応じてクレジット額を決定する場合、税務当局の中の情報だけでRTCを通じた低所得支援策を実施できます。もちろん、追加的なRTCを設けることにより税務当局の事務は増えることになるでしょうが、新たな事業として同様の施策を福祉当局が実施するよりは、実施にかかる費用は少なくて済みそうです。

これらに加えて、あまり議論されていないポイントもあります。図表10に示しているように、現在、RTCを積極的に利用している国はカナダとアメリカぐらいです。両国とも連邦国家で、さらに連邦国家の中でも、州政府が福祉行政に強い権限を持っている国です。例えば、アメリカには子どもをもつ家庭に対して、TANF(Temporary Assistance for Needy Families)という生活保護に類似した制度があるのですが、各州が定める一定の基準を満たした場合に連邦政府が補助金を出す仕組みのため、最低基準は満たされるものの、給付金額は州ごとに大きく異なります。連邦政府のSSI(Supplemental Security Income)の対象となる高齢者以外に、州政府を介さずに連邦政府が直接現金給付を行おうとする場合、連邦の税制とその執行組織(IRS)を用いることが最も現実的で、かつ、効率的な手段となりそうです。これはカナダも同様です。つまり、連邦の所得税制を使うことで州政府の福祉政策をバイパスできるという利点があるため、州の権限が強いカナダとアメリカでは低所得者支援にRTCが盛んに使われていると解釈することができるかもしれません。

図表10

図表10

では、ほかの連邦国家はどうかというと、連邦政府が独自の福祉行政インフラを持っているドイツやオーストラリアではRTCをあまり利用していない状況が見て取れます。また、連邦政府の税務執行能力が弱いスイスは、そもそも連邦政府がRTCをしっかり行える基盤がないと考えられます。

なお、一方の単一国家ではどうでしょうか。例えば、イギリスやフランスでは、かつては低所得者対策としてRTCを採用していましたが、現在ではそれらのRTCはより大きな社会保障制度へ統合されています。イギリスでは、ユニバーサル・クレジット(UC)という包括的な制度へRTCを統合させました。マスコミや一部の専門家が、UCを「給付付き税額控除」として説明しているケースが散見されますが、その「給付付き税額控除」という言葉を本来のRTCとして利用しているのならば、そのような説明は間違いです。なぜなら、UCは税制の中で運用されていないからです。もちろん所得税制からの情報は利用されていますが、それはあくまでもほかの社会保障制度と統合された形で運用されています。また、フランスでも低所得者対策用のRTCを廃止し、ほかの制度と統合する形で社会保障制度として運用しているようです。

このように考えると、連邦国家では、カナダやアメリカのように、福祉に関する州政府の権限が強く、連邦政府が社会保障給付のための行政インフラを有していない場合、低所得者支援のために連邦の個人所得課税制度を盛んに活用しているように思えます。その一方で、イギリスやフランスのような単一国家では、かつてのRTCをほかの社会保障制度と統合させ、税務情報を活用しながら社会保障制度の中で低所得者対策を行っているようです。つまり、RTCを使う利点は、税務当局による給付の執行に何らかの利点が存在する場合に限られることが示唆されます。アメリカやカナダのように全納税者の情報が税務当局に集まる場合、先ほど申し上げたように、その利点として給付の捕捉範囲の拡大と実施費用の抑制が挙げられていますが、さらに、連邦政府からの視点で見ると、州政府を介さずに直接給付できるという利点も大きいのではないかと思います。

6.低所得者へ与えるクレジット/給付額のスケジュール

先ほど申し上げたとおり、可処分所得に与える影響は、RTCでも現金給付でも全く同じです。RTCの場合は、税額からクレジット額を引き、残った分のお金を還付することになります。現金給付の場合は、税額はそのままにして、クレジット額に等しい現金給付を行うことになります。したがって、給付を受け取る低所得者の観点からはRTCか給付かではなく、クレジットや給付の金額をどう所得に対応させるかが重要です。

低所得者対策ですから、高額所得者に対する実質的な可処分所得の増額はゼロになるように設計されることになるでしょう。したがって、個人所得税制におけるクレジット額にしろ、給付制度における給付額にしろ、その金額が所得の変化に応じて変化することになり、いずれの場合も、チームみらいが言う「所得連動型給付」となります。ただし、低所得層に限ったとしても、当該制度の目的によって、所得連動のスケジュール、すなわち、所得に応じてどれくらいクレジット額や給付額が変わるかは異なってきます。

具体例として、アメリカのEITCのスケジュールである図表11を御覧ください。同図表では、所得(横軸)に応じてクレジット金額(縦軸)がどう変わるかを描いています。ポイントは、左側に描かれている右上がりの直線です。ここでは、働けば働くほど一定割合で給付金額が増えますので、この傾きの分だけ賃金率が上乗せされていることになります。これは、例えば、時給1,500円に500円や1,000円が上乗せされている状態ですから、少なくともこれまで働いていなかった人たちの一部は働き出すことが期待されます。これが、EITCが就労促進とみなされる理由です。ただし、ある程度所得が増えるとクレジット額は定額になり、スケジュールは水平になります。そして、さらに所得が増加すると、同金額は徐々に減少しはじめ(右下がりになり)、最後にはクレジット額はゼロになります。後者の形をとっているのは、いきなり給付がなくなると手取りが逆転するため、収入の壁と同じような状況が起こるのを避けるためです。

図表11 EITC

図表11 EITC

図表12のように、カナダのCWB(Canada Workers Benefit)も同じようなスケジュールをしています。しかし、アメリカでは少しでも働けばクレジットが増額されるのに対し、カナダの場合はある程度働かないとクレジットは与えられません。

図表12 CWB

図表12 CWB

図表13は、消費税の逆進対策として設けられているカナダのCGEB(Canada Groceries and Essentials Benefit)のスケジュールです。複数人世帯の給付スケジュール(上図)は比較的単純で、特定の稼得所得水準に達するまで定額のクレジットが付与され、その水準を超えると、手取りの逆転が起こらないよう徐々にクレジット額が減らされていきます。一方の単身世帯(下図)に関しては、図のように定額部分が2つあり、その間は右上がりの直線でスムーズにつながれています。なお、カナダの連邦消費税では、この逆進性対策としてのRTCとともに、軽減税率(ゼロ税率)も設けられており、「基本的な食料品(basic groceries)」~嗜好品・スナック・外食以外の食料品~に対する消費税率がゼロ税率となっていることに注意してください。

図表13 CGEB

図表13 CGEB

図表14は、国民会議で提示された、現在日本で考えられている給付付き税額控除のイメージ図です。今後どうなるかは不透明ですが、特徴的なのは「勤労性の所得に応じて逓増」の部分の「年収の壁」関連での上乗せ部分です。また、CWBのように一定の所得に達しない人には給付しない形になっていますが、CWBとは異なり、徐々に増加するのではなく定額でジャンプしている点も特徴的です。この場合、ジャンプする閾値となる収入で働くことに強いインセンティブが生じると考えられますが、一定の収入がないと給付されないということであれば、少なくともCGEBのような消費税の逆進対策は目指されていないようです。

図表14 現在、考えられている給付スケジュールのイメージ

図表14 現在、考えられている給付スケジュールのイメージ

このようにスケジュールが変化する閾値の設定も重要です。より寛容な給付を行うのであれば、給付スケジュールが上方にシフトするとともに、給付が増加し始める閾値は減少し、給付が減少し始める閾値は増加します。当然その分だけ財源が必要になりますから、なかなか頭の痛いところではないかと思います。

いずれにせよ、RTCや従来型の給付は、その目的を明示したうえで、所得と連動してどのように給付額が変化するかを具体的に定めることなしには評価できません。また、他の給付制度との関連も考慮する必要があります。例えば、就労促進を目指す場合、働かなければ給付を少なくし、働くほど給付を増加することになるでしょう。しかし、そのようなスケジュールでは、本来の意味での低所得者対策にはなりません。アメリカで、このEITCのようなスケジュールが可能なのは、65歳以上の人たちや障害のある人たちには別の制度で対応しているからです。また、既述のTANFという福祉制度も存在します。つまり、就労可能でない人々用の給付制度があった上で、図表11のような給付スケジュールになっているわけです。カナダの場合も同様です。CWBも図表12のようなスケジュールになっていますが、そのほかにも、図表13に示したCGEBをはじめとする複数のRTCがあり、それに加え、州政府が独立した社会扶助を提供しています。

日本にもさまざまな給付制度がありますが、「給付付き税額控除」を設けたとしても、それをどのように一貫性を持ってほかの制度と統合していくかが重要でしょう。であるならば、先ほど申し上げたイギリスのUCのような方向に進むべきではないかと思います。

7.日本における「給付付き税額控除」―いくつかの議論の整理

最後に、これまで日本で行われてきた「給付付き税額控除」をめぐる議論を見てきて、若干疑問に感じたことを整理させてください。議論の前提として、本来の低所得者対策としてのRTCは、①個人所得税制における還付として行われ、②還付事務は課税当局が実施し、③還付に当たっては個人所得税制における制度的な縛りがそのまま適用されることになる点を確認してください。

第1に、低所得者対策としてのRTCの利点は、捕捉範囲の拡大と実施費用の抑制ですが、この二つの利点が日本の納税環境で発揮できるかは大きな疑問があります。そして、繰り返し申し上げているとおり、受給者の可処分所得の増加という観点からは、必ずしも税制を使う(=RTCである)必要はなく、給付でも同じ効果の制度は設計可能です。給付で行うとバラマキになると主張される方もいらっしゃいます。しかし、RTCとして税制を通じて減税・給付することになっても、給付額のスケジュールと同様、クレジット額のスケジュールは政治的に決定されるものですから、RTCを用いるとなぜバラマキの抑制になるのか、私にはまだ理解できていません。

第2に、「給付付き税額控除」には個人資産の把握が必要だと言われます。しかし、所得税制の枠内で行うわけですから、金融所得はともかく、個人資産の把握は所得税制の枠外にあります。したがって、もし個人資産の情報が必要であるというならば、定義によってそれをRTCと呼称することはできません。換言すると、個人所得課税を用いてRTCとして実施するのであれば、個人資産を考慮しないのは理にかなっていると言えます。ただ、EITCと同じような制度を持っている韓国では資産保有額を考慮しているので、例外はあります。

第3に、個人単位か世帯単位かという点についても争点になりました。日本の所得課税は個人単位課税です。したがって、税制の枠組みを利用したRTCとして実施するのであれば、個人所得にかかる税の還付という形式をとりますから、当然、個人単位以外はあり得ません。世帯単位で実施すべきということになれば、所得課税の還付として意味づけることは定義上不可能になるので、その名称として「refundable」という形容詞は使えないことになります。

第4に、正確な所得把握が必要だということもよく議論されますが、そもそも、これはRTCや給付に限った話ではありません。所得課税には正確な所得把握が必要なのは当然であり、むしろ、RTCの有無にかかわらず、それを可能とする行政インフラを整えることが最も重要です。ただし、捕捉拡大のために「給付付き税額控除」を用いるのであれば、多少の濫給は容認しても良いという発想もあるかと思います。生活保護に関してもよく議論されますが、資力調査を厳しくすれば、受給すべきでない人が受給できない確率が増加する一方で、受給すべき人が受給できない確率も増加します。反対に、資力調査を緩くすれば、受給すべき人が受給できる確率は増える一方で、受給すべきでない人が受給できる確率も増加します。このように、受給すべき人が受給できる確率と受給すべきでない人が受給できない確率はトレードオフの関係にあります。このようなトレードオフを弱めるには、行政のリソースを増やすしかありません。それには当然、お金も人員もかかります。低所得者支援が政策目標として優先されるのであれば、当面は現行の所得把握能力を前提に制度を設計し、もし濫給が目立つようであれば、そもそも所得把握はしっかりしなければいけないわけですから、税務能力を高めていく方向に持っていくというのも一つの考え方ではないかと思います。

いずれにせよ、最も重要なのは所得情報です。アメリカやカナダで連邦政府によるRTCが発達したのは、連邦政府(中央政府)の税務当局に個人の所得情報が集中しているからです。一方、日本は源泉徴収制度をとっています。給与所得の源泉徴収義務者は、一定の支払い金額以上の源泉徴収票のみを税務署(国=中央政府)に提出しているため、中央政府に全ての所得情報が集まっているわけではありません。その一方で、地方自治体には、源泉徴収義務者から全ての給与所得情報が提出されています。したがって、現行の行政情報インフラを前提にする限り、所得に連動した給付を実施できるのは地方自治体しかありません。しかし、地方自治体がそれを受け入れて実施するかどうかは別問題でしょう。以上を踏まえると、国民会議の中間報告のとおり、いわゆる「給付付き税額控除」は、当面は給付のみで行わざるを得ないというのが、日本の行政インフラを前提としたときの当然の帰結ではないかと思います。

これで私の話を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

○森本理事長 給付付き税額控除の概念及びその有効性について、わかりやすく説明してくださり、大変ありがとうございました。

それでは、御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

○質問者 少し考えれば、先生のおっしゃるとおりだとわかりそうな気もするのですが、国の議論を見ていると、行ったり来たりといいますか、名前にとらわれて迷走しているような感じがしないでもありません。なぜこれほど迷走しているのか、先生の目にはどのように映っているのでしょうか。

○林 一般的な議論として、本来のRTCという制度が正確に理解されず、「給付付き税額控除」という言葉だけが独り歩きしているように思います。「給付付き税額控除」という言葉が我々研究者の間で頻繁に言及されるようになったのは2000年代後半ですが、当時は学者自身もよく理解できていなかったのが実情でしょう。マスコミでも言及されるようになってきましたが、国別の納税環境と給付をめぐる制度全体をしっかり理解した上で言及しているのではなく、低所得者を救う新しい給付制度の代名詞というのでしょうか、一種のアイコンやスローガンとして使われてきた側面が強いのではないかと思います。

それは政治家や政策担当者も同じかもしれません。もともと「給付付き税額控除」は、かつての民主党政権が消費税の逆進対策として提案したものだと理解していますが、それがいつの間にか、就労促進や子育て支援など、さまざまなイメージのもと語られるようになりました。現行の社会保障制度にはない、ワーキングプアの人たちを支援する新しい制度を作り上げるという点では、皆さん共通のイメージを持っていらっしゃったとは思いますが、そもそも「給付付き税額控除」を概念的にはっきりさせないまま、それぞれのイメージをお持ちになっていたのではないでしょうか。そして、実際に制度をつくる段階になり、ようやく議論のすり合わせができるようになってきたのかなと思えます。

○森本理事長 ほかにいかがでしょうか。――では、私からお伺いします。

今年に入ってから、給付付き税額控除の議論が盛り上がっています。一つには、130万円の壁や社会保険料の逆進性に対する解決策が求められている面があると思いますが、それならば、社会保険料も税制と同じく国の制度ですから、社会保険料制度のほうで何か手当てできるのではないかと思います。つまり、社会保険料を払っている分を税額控除で還付すると、行って来いになるような気がするのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

○林 おっしゃるとおり、私も初めは社会保険料でやるべきことだろうと思っていましたが、いろんな人と話をすると、社会保険料の哲学と所得課税の哲学は違うようです。個人所得課税は、所得控除があって、そこから飛び出た部分に課税することになるので断絶のない予算制約ができますが、社会保険料については、そのような控除なしに保険料率が課されています。本来なら、所得課税の方法にならって保険料率を課せば、いわゆる収入の壁は無くなるのですが、社会保険料のロジックに忠実な方々には、なかなかその点に納得してもらうことは難しいようです。ですので、そのような方々を納得させるコストが高ければ、別の方法をとるのは、ある程度、仕方のないことだと思います。

実際、先ほど申し上げたアメリカのEITCの導入時における主たる目的は、低所得者にも強いられる社会保険税の負担を相殺するためでした。仮に所得税でいう課税最低限度に相当する基準を社会保険料にも設け、それを超える部分に比例で社会保険料を課すことになると、全ての所得帯に影響を与えることになりますので、具体的な数値は確認できていませんが、保険料収入はかなり減少するはずです。一方で、RTCもしくは所得連動型の給付は一部の所得帯に限って適用できるため、収入の壁が消えるような形で保険料を埋め合わせるように新制度を設計することができれば、保険料収入を維持しつつ、収入の壁を消すことができるでしょう。その意味で最近は、RTCや所得連動型の給付によって社会保険料負担を相殺することも、それはそれで意義のある一つの政策手段ではないかと思うようになりました。

○森本理事長 それでは、時間も過ぎておりますので、本日の「資本市場を考える会」は以上とさせていただきます。

林様、わかりやすいお話をありがとうございました。(拍手)

(了)

(本稿は、2026(令和8)年7月2日に開催した講演会での要旨を整理したものであり、文責は当研究所にある。)

略歴等

【略歴】

1989年
青山学院大学国際政治経済学部国際政治学科卒業
1991年
青山学院大学大学院国際政治経済学研究科博士課程中退(政治学修士)
1991年
三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)研究員
1998年
クィーンズ大学(カナダ)より経済学Ph.D.を取得
1999年
明治学院大学経済学部講師(2003年~助教授)
2004年
財務省財務総合政策研究所総括主任研究官
2006年
一橋大学大学院経済学研究科及び国際・公共政策大学院助教授(2007年~准教授)
2010年
東京大学大学院経済学研究科・経済学部准教授(2014年~教授)
2014年
東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授(現職)

その他、日本財政学会代表理事、政府税制調査会特別委員、地方財政審議会特別委員などを歴任

現在は、公共選択学会会長、財務省財務総合政策研究所特別研究官、日本学術振興会学術システム研究センター社会科学専門調査班主任研究員等を務める

【専門】

  • 財政学(税制、政府間財政、社会保障財政)、公共経済学

【主な著書・編著書】

  • 『大学4年間の財政学が10時間でざっと学べる』(単著、KADOKAWA、2026年)
  • 『財政学―課税と給付の経済学―』(単著、有斐閣、2025年)
  • 『税制と経済学』(単著、中央経済社、2024年;第34回租税資料館賞、2025年日本応用経済学会著作賞)
  • 『生活保護の経済分析』(共著、東京大学出版会、2008年;第51回日経・経済図書文化賞)等
  • その他についてはResearchmap(https://researchmap.jp/read0206919)を御参照