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第3号(2026年4月)

研究会論文 TOB・大量保有報告制度の見直し

大崎貞和(東京大学公共政策大学院客員教授)

〔要 旨〕

 2024年5月に成立した金融商品取引法改正では,17年ぶりとなる株式公開買付(TOB)制度及び大量保有報告制度の大幅な見直しが行われた。TOB制度については,TOB強制規制である「3分の1ルール」が「30%ルール」に改められ,強制規制の適用対象が取引所市場内での買付け等にも拡げられた。このほか形式的特別関係者の範囲の見直しや手続きの柔軟化が図られた。大量保有報告制度については,協働エンゲージメントへの委縮効果を低減するために共同保有者の規律が見直される一方,重要提案行為等の規制の精緻化が図られた。また,現金決済型のエクイティデリバティブ取引の取扱いが見直された。今回の制度見直しの背景には,対象会社の同意を得ない敵対的TOBの増加や機関投資家によるエンゲージメントを重視するコーポレートガバナンス改革の進展といった近年の市場環境の変化がある。改正の内容は,総じて言えば,買収者に対して厳しい内容となっており,今後,今回の改正が経営者による買収防衛の規制に何らかの影響を及ぼすのか,将来的な欧州型のTOB制度への移行が現実化するのかといった点が注目される。

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