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第2号

研究会論文 投資運用業規制―業務委託に係る規制の見直し―

神作裕之(学習院大学法学部教授)

〔要 旨〕

 投資運用業に関する2024年の金融商品取引法改正のうち,業務委託に係る規制の見直しを取り上げる。同改正により,第1に,投資運用業者一般について投資運用関係業務受託業者に投資運用関係業務すなわち計算関連業務またはコンプライアンス指導業務を委託する場合には,登録要件が緩和されるに至った。第2に,資産運用業者のコア業務である運用権限についても,当該業者が運用するすべての財産についてその運用権限の全部を委託することが認められることになった。それによって運用と業務管理を分離しファンド管理機能に専念する投資運用業者の登場が可能になった。専門化・分業化が進む中で,多様な機能を果たし得る投資運用業の諸機能が適切に外部委託されることは,当該業者のみならず投資者および資本市場にとっても有用である可能性が生じる。
 本稿は,資産運用業者の参入規制の沿革と現状を確認し,それが複雑化し多様化していることとその原因を探る。さらに,投資運用業の諸機能の外部委託について,そもそも委託することが認められない機能は何か,委託することができる場合において委託がなされたときの監督法上の規制の留意点について述べ,業務委託に係る規制の現状とあるべき姿について検討する。最後に,外部委託に係る民事ルールについても明確化の必要性があることを述べ,将来の検討課題とする。

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