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証券経済研究 第98号(2017年6月)

イングランド銀行の量的緩和からの出口政策について

斉藤美彦(大阪経済大学経済学部教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕
 今次金融危機後において,主要中央銀行は名目金利の引下げ余地が無くなったこともあり,非伝統的と一般に呼ばれる金融政策を採用せざるを得なかった。イギリスの中央銀行であるイングランド銀行(BOE)も2009年以来,量的緩和政策を採用してきているが,他の中央銀行と異なり,それを子会社である資産買取ファシリティ(APF)を通じて行い,それに損失が発生した場合には財政負担とするとの取決めがなされていた。その取決めの下におけるAPFと財務省の間の資金移転の方式については,当初のAPFの解散時における一括清算から,四半期毎の資金移転へと変更された。そしてこの時点でBOEは,APFの損益の将来予想についての論文を『イングランド銀行四季報』に発表し,透明な出口政策を志向している。
 アメリカのFRBに続いて,出口を出ると予想されていたBOEは,2016年の国民投票の結果からの経済情勢の変動を受けて,2016年8月に追加緩和措置を発表し,出口は遠のき,APFにおける損失発生の可能性も高まることとなった。しかしながら,出口政策の概要やリスクについて説明した論文の公表は,将来予測を容易化するし,中央銀行のバランスシートの毀損を回避するように設計されたイギリスの非伝統的な金融政策における工夫が,実際の出口においてどのように作用するかについては注目されるべきであろう。

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