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証券経済研究 第99号(2017年9月)

投資アドバイスとは何か—フィデューシャリーとしての米国証券営業担当者の事例から—

沼田優子(明治大学国際日本学部特任准教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕
 米国では,個人向けの証券営業チャネルが多様化し,それぞれの業法が異なることから投資家保護水準に差が生じた。証券外務員のフィデューシャリー・デューティー(受託者責任,FD)議論が開始されたのは,この差を埋めるためである。
 FDの中核をなす忠実義務は,顧客の最善の利益(best interest)のために行動することを義務付けているが,これは必ずしも最高級のアドバイスと同義ではない。顧客のニーズに合わせて費用を抑えるべく,アドバイスの不要な機能を削ぎ落とす必要もあるからである。
 しかしそのためには投資アドバイスの機能や範囲を明らかにする必要があったため,「投資アドバイスとは何か」の議論が喚起された。また資産管理型営業を目指して有価証券や銘柄推奨に留まらない包括的なアドバイスを提供するようになった一方で,不要な過程は削ったり,外部委託,機械化することにより,投資アドバイスの機能分化が進み,裁量の度合いにも差が生じた。
 つまり法規制の変更と実務上の工夫の相乗効果により,米国では対面アドバイスの可視化と多様化が実現したのである。こうして富裕層に留まらず,様々な投資家のアドバイス・ニーズに応えられる体制が出来上がり,投資家の裾野を広げていく一助になったとみられている。

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