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証券経済研究 第98号(2017年6月)

ドイツの国債市場と欧州中央銀行の金融政策

代田純(駒澤大学経済学部教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕
 ドイツでは財政収支が2014年から2016年まで,3年連続で黒字(一般政府ベース)となった。とりわけ連邦(中央)政府財政の黒字が大きく,一般政府での財政収支黒字を牽引している。この結果,ドイツの国債(ブンドなど連邦政府債)新規発行額は減少しており,借換えニーズだけに応じて発行されている。新規国債発行額の減少も一因となって,ドイツの国債売買代金は減少している。しかし,年間の売買回転率は4(400%)回転前後であり,一定の流動性が維持されている。
 欧州中央銀行の公共部門買入プログラムが継続され,しかもドイツ国債が購入の中心となっており,ドイツ国債には「超過需要」が生まれ,長期金利は低下バイアスがかかりやすい。このためもあり,ドイツで住宅価格等は急騰し,資産格差が拡大しているといった論調も強い。
 欧州中央銀行はドイツ国債を額面以上の価格で購入する一方,フランス,イタリア,スペイン国債を額面以下の価格で購入してきたと見られる。このため,欧州中央銀行は償還益を得ている。しかし,ドイツ連邦銀行は,2016年決算において,国債価格低下に備えた,リスク準備金を積み増し,最終利益を大きく減らした。

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