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証券経済研究 第97号(2017年3月)

戦時期の証券会社経営について—山一証券を中心に—

深見泰孝(駒澤大学講師・当研究所嘱託研究員)

〔要 旨〕
 戦後の四社体制形成の基礎には,戦前期の店舗規制と戦時統制の果たした役割が大きいとの指摘が従来されてきた。すなわち,取引所取引員への店舗規制が,公社債引受業者の大手業者への成長を助長し,他方で有価証券引受業法による特権的地位の獲得が,株式業者を公社債引受業務から排除し,加えて,引受免許業者がその地位を活用し,株式業務を強化していったためである。
 ただ,これらは各社の社史に依拠したものであり,一次史料を用いたものではないため,本稿はこれを一次史料を用いて,当時の証券業者の経営の一端を明らかにし,戦時期に戦後の四社体制の基礎が形成されたのかを再検討することが目的である。そもそも収入で株式業者を圧倒していた,公社債専業者への有価証券引受業法による特権的地位の付与は,公社債業務での業務集中のみならず株式業務の強化をも後押しした。また,店舗政策では,店舗規制は抜け道があり,厳格な運用がされていないにもかかわらず,株式業者が支店網の形成をしなかった理由を考察し,商売の性格,資本面に加え,採算性の低さにあると結論づけた。他方,全国的な支店網を構築していた山一証券では,地方での顧客基盤の拡大のために,証券業者の再編,統合を利用し,支店開設や同業者からの注文の取次だけでなく,地場業者の系列化も進めていたことが明らかとなった。

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