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証券経済研究 第97号(2017年3月)

日本銀行による補完当座預金制度と銀行経営

勝田佳裕(広島修道大学准教授)

〔要 旨〕
 本稿では,日本銀行の補完当座預金制度に基づく超過準備への付利が民間銀行の収益に与えた影響を業態別(都市銀行・地方銀行・第二地方銀行)に検討した。中心的に検討したことは,補完当座預金制度導入以降における超過準備への付利及び超過準備を増加させるために実施された長期国債買い入れオペが民間銀行の収益に対して与えた影響である。また,マイナス金利政策が民間銀行の収益に対して与える影響についても検討した。
 補完当座預金制度導入以降の趨勢的な金利及び預貸金利鞘の低下局面は,資金運用差益(利鞘)の減少をその他差益で埋め合わせることができる都市銀行に対し,それが困難である地方銀行及び第二地方銀行にとって非常に厳しい金融環境であった。仮に,超過準備に対する付利と長期国債買い入れオペに日本銀行から民間銀行への補助金的意味合いがあったとしても,その恩恵にあずかることができたのは都市銀行であり,地方銀行及び第二地方銀行にはその恩恵があまりなかったと考えられる。
 2%の物価安定目標の達成が遅れた場合,追加的な金融緩和の一環としてマイナス金利幅の拡大が予想される。一方,2%の物価安定目標が達成され出口戦略を模索する局面が到来した場合,超過準備に対する付利金利の引き上げが予想される。いずれの場合においても,民間銀行の業態別の収益に対して与える影響の度合いは異なってくるであろう。日本銀行には,これまで以上に,個々の及び業態別の銀行経営に与える影響に配慮した政策運営が求められよう。

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