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証券経済研究 第97号(2017年3月)

公社債市場の機能を再考する—超金融緩和政策があぶりだした市場努力の限界—

小林和子(当研究所名誉研究員)

〔要 旨〕
 財政・金融・証券の三大領域が不可分に重なり合う分野として,公社債市場は本来の純粋な証券市場として機能を発揮する以前に,相当に大きな幅をもって財政・金融からの政策的な影響を受け,良く言えば弾力的に,悪く言えば市場機能を押し潰されて,活用されてきた歴史を持つ。第2次世界大戦前の平時期には株式による自由な資金調達と並んで,銀行債を中心とした債券発行市場もあった。小規模市場が発展を模索した時代である。しかし準戦時〜戦時期は一転して巨額の戦時国債(戦費,時局匡救,植民地経営)の円滑な消化とインフレ抑圧の国家規模の枠組みの中に公社債市場は組み込まれた。第2次世界大戦後はほぼ無策のまま戦後インフレーションの進展により堆積した戦時国債の処理問題は消失するという僥倖を得た。その後は株式市場に比して自由化を遅らせた公社債市場の平時の発展を可能にする正常化がほぼ50年間にわたって目標とされた。
 この目標が達成されたころに,企業の旺盛な資金調達の意欲は衰微し,代わって再び,(平時の)国債発行が強大化して現在に至る。戦争という異常・危急の事態の下ではなく,平時であるのに異常・危急の事態の下で,公社債市場の機能発揮は圧迫されており,対処の方法は見つけ難い。市場の努力では打開不可能な状況に対応する方法はあるのか。

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