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証券経済研究 第96号(2016年12月)

米国証券規制の経済的評価:現状と検証

若園智明(当研究所主任研究員)

〔要 旨〕
 本稿は,米証券取引委員会(SEC)の規則作成における経済分析に焦点をあて,SECが置かれた環境やSECに行動変化を促した要因を説明するとともに,2016年に発布した最終規則を題材として,現在のSECの経済分析に若干の検証を加えている。
 近年のSECはコスト・ベネフィット分析(CBA)を含めた経済分析に対応すべく,規制作成を扱う部署に向けたガイダンスを更新するとともに,内部組織の変更や担当エコノミストの増員などを行なってきた。これらは,複数の司法による審査の結果や,SECの基本法の修正などが行動変化を促したと言える。
 しかしながら依然として,SECの規則作成においてCBAなどの経済分析を求める法的根拠は明確ではなく,また,CBA等に注力することがSECの市場監督や規制活動にとって必ずしもメリットのみをもたらすわけではないことから,同様な分析を推進するインセンティブは充分ではない。
 本稿では,合わせてSECの新ガイダンス以降に発布された最終規則を検討したが,十分な経済分析が提示されているとは言い難い。特にベネフィットの定量的分析は,本稿執筆時点で,2016年に発布された最終規則では提示されていない。一部のコストには定量分析の結果が記載されているものの,その分析は不十分であり,エコノミストの活用は市場等の現状分析に限定されている。

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