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証券経済研究 第92号(2015年12月)

米国の新たな役員報酬関連規制を巡る一考察

若園智明(当研究所主任研究員)

〔要 旨〕
 本稿では,米国のドッド・フランク法(DF法)が定めた役員報酬関連規制を整理し,特にDF法が米証券取引委員会に規則作成を命じた施策について若干の考察と評価を加える。DF法の役員報酬関連規制を整理すると,その柱は株主承認であるセイ・オン・ペイの導入と報酬委員会の独立性(機能)強化となる。また,セイ・オン・ペイを有効とするために,役員報酬に関する追加的な情報の開示が含まれている。
 米国では,企業のCEO等に支払われる高額報酬に係る事象は,世界恐慌の頃より社会的にも問題視されてきた。証券取引所に上場する公開会社に対しては,特に90年代初めごろより,SECが情報開示の拡充を主として当該問題への取り組みを強めている。しかしながら,特に連邦議会での扱いが象徴的であるが,このような役員報酬が強く社会問題視されるのは米国内の経済成長が低迷し失業率が高まった時期が多く,それ故に同問題への対応として実施された政策にはポピュリズムであるとの批判も多い。公開会社に画一的に適用される規制的アプローチをもって役員報酬を捉えるならば,規制の対象は単純な報酬の水準ではなく,報酬を決定するメカニズムの設計と当該メカニズムの評価手法について必要十分な開示と説明,および再検証に主たる力点が置かれるべきであろう。
 これらを踏まえて,本稿の最後ではDF法が追加的に開示を要求するペイ・レシオに対して批判的な検討を加えている。

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