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証券経済研究 第92号(2015年12月)

店頭デリバティブ市場の国際比較—BIS統計に基づく考察—

吉川真裕(当研究所客員研究員)

〔要 旨〕
 店頭金利デリバティブ市場は1位のイギリス,2位のアメリカに取引が集中しており,その他の国々でも取引が活発な国々とそうでない国々が存在する。GDPや金融市場の規模と比較してイギリス・アメリカ・フランス・シンガポール・オーストラリアなどでは取引が盛んであり,日本・ドイツ・イタリア・スペイン・カナダなどではそれほど取引が盛んではない。
 世界全体の数値は取引全体の半分近くを占めるイギリスの数値に大きく影響を受けており,イギリスを除く比率を比較の対象とすべきかもしれない。しかし,イギリスを含めた世界全体の比率を比較してみてもドイツやスペインといったヨーロッパの国々の比率は他の国々と極端に異なっており,ドイツやスペインの国内でおこなわれる取引がイギリスでおこなわれているために,ドイツやスペインの取引比率が偏っているものと考えられる。
 世界全体の金融取引では依然としてドル建て取引が多いにもかかわらず,店頭金利デリバティブ取引においてはユーロ導入後の最初の調査である2001年以来,一貫してユーロ建て取引がドル建て取引を上回っており,しかもユーロ建て取引の69%がイギリスでおこなわれていることが国別にみた取引バランスを大きく歪めている可能性が高いものと考えられる。
 イギリス・アメリカ・日本を除く国々の店頭金利デリバティブ取引の国別集計結果の詳細が公表されていないことも国際比較を難しくしているが,イギリスにおけるユーロ建て取引の実態解明こそ,店頭金利デリバティブ取引の実態を把握する上で重要であるのではないかと考えられる。

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