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証券経済研究 第90号(2015年6月)

欧州銀行のビジネスモデルと金融危機
—CEPS『銀行ビジネスモデル・モニター2014』に拠って—

入江恭平(中京大学教授)

〔要 旨〕
 本稿は欧州銀行と金融危機,ユーロ危機との関連を銀行ビジネスモデルという視点から分析する。いま銀行ビジネスモデルへの関心が高まっているのはまず第1に,歴史的に形成された特定の銀行ビジネスモデルが金融危機,ユーロ危機を誘発したかどうかが再考され,第2に,金融危機後の銀行制度改革のなかで,銀行のビジネスモデルの違いを前提した政策対応が議論されている。第3に個々の銀行サイドから危機後にどのようなビジネスモデルを選択すべきかが問われている。
 銀行ビジネスモデルに関する最近の文献を簡単にサーベイしたのち,CEPS:Centre for European Policies Studiesが数年前から2度にわたるバックグラウンドスタディをおこなった後,昨年末公刊したBanking Business Models Monitor 2014に拠りながらビジネスモデルと金融危機に焦点を当てる。
 ビジネスモデルの抽出にはクラスタ分析という方法が使われているが,そこでは①銀行向け貸出比率(対総資産−以下同じ),②トレーディング資産比率,③対銀行債務比率,④顧客預金比率,⑤(市場性)負債債務比率,⑥ディリバティブ残高比率の6つの指標がクラスタ組成の変数として利用され,銀行ビジネスモデル,すなわち①投資銀行,②ホールセール銀行,③分散リテール銀行,④集中リテール銀行の4類型が析出される。
 さらに,金融危機(2008〜2009),ユーロ圏危機(2010〜2012)前後での各モデルのパーフォーマンス(一部にはリスクを考慮した)が検討され,最後に金融危機前後(2006年〜2013年)でのビジネスモデル間の移動を考察し,相対的にパフォーマンスの良いビジネスモデルは分散リテール銀行であったにもかかわらず,金融危機後のビジネスモデル間では集中リテール銀行への移動が圧倒的なのはなぜかと問題が提起される。

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