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証券経済研究 第90号(2015年6月)

外国為替資金特別会計と英EEA—財政と為替介入資金をめぐる日英比較—

代田純(駒澤大学教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕
 本稿は日本の外国為替資金特別会計をイギリスの為替平衡勘定(EEA)と比較することで,特質を明らかにするものである。日本の財政の特質のひとつは,特別会計が大きいことである。特別会計のなかでも,国債整理基金とならび,外国為替資金特別会計は巨額の特別会計のひとつである。
 最近では,為替介入は実施されていないが,外国為替資金特別会計は別の面で重要性を増している。同会計から一般会計への繰入額は2兆円前後に達し,一般会計の「税外収入」として主要な財源となっている。2013年以降の円安により,同会計の評価損は縮小が見込まれるが,2012年度決算では41兆円の評価損があり,債務超過状態にあった。
 イギリスのEEAの場合,規模が小さいうえ,国家貸付基金(NLF,経常勘定である統合基金の国債を発行する資本勘定)にリンクしている。EEAで余剰金が発生した場合,EEAからNLFへの債務が返済される。EEAも外貨建て債券を保有しており,ユーロ安・ポンド高等で為替損は発生するが,NLFへの債務が増加する。
 為替介入資金には,日英ともに,中央銀行が密接に関連している。日英共通して,為替介入の主体は財務省であり,中央銀行は代理人である。しかし,日本銀行は資産サイドだけに外貨資産があり,為替損益が発生しやすい。他方,イングランド銀行では,資産と負債の双方に外貨建てがあり,基本的には為替リスクがヘッジされている。

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