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証券経済研究 第87号(2014年9月)

地域銀行の企業統治分析—執行役員の導入要因—

森祐司(九州共立大学准教授)

〔要 旨〕
 近年,地域銀行(地方銀行および第二地銀)においても企業統治制度の改革が進展してきている。銀行業は規制産業であるが,金融自由化の進展と相俟って経営の自由度は広がり,企業統治制度のあり方を変革する銀行も見られるようになってきている。本研究では,このようなわが国の地域銀行に焦点をしぼり,企業統治改革の一環として導入されるようになった執行役員制度についてその導入要因を検証する。
 地域銀行においては,安定性が低下するほど,中核となる貸出業務が低迷するほど,戦略面では経営多角化が進行するほど,執行役員制度の導入確率や導入人数が多くなるという推計結果がえられた。地域銀行においても,業務多角化による業務の複雑さが増加すると執行役員が導入に影響することがわかり,先行研究の結果と符合する。
 また,地域銀行の機関投資家の株主比率が高い場合,貸出状況が悪いときにはより強く執行役員制度導入と執行役員数増加に作用している可能性も示唆され,地域銀行も機関投資家といったアウトサイダーから実際に圧力を受ける,あるいは実際に圧力がなくても,その意向をくみ取って,経営改革を行い執行役員制度を導入している可能性も示唆された。執行役員を導入する地域銀行は,競争条件が厳しくなり収益環境も悪化する中で,機関投資家株主といった外部からの圧力を考慮しつつ,経営変革を行ってきている可能性を示唆すると考えられる。

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