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証券経済研究 第86号(2014年6月)

金融商品取引業者等に対する情報伝達・取引推奨規制加重の意義

荻野昭一(北海道大学大学院教授)

〔要 旨〕
 平成25年に改正された金融商品取引法の中で,新たに導入された情報伝達・取引推奨規制が本年4月1日から施行されている。従来のインサイダー取引規制は,上場会社の役員等の会社関係者等が,重要事実等を知った場合において,これが公表される前に所定の有価証券の取引を行うことを規制しているものであるところ,情報伝達・取引推奨規制は,これまで禁止行為とされてこなかった情報伝達行為及び取引推奨行為を直接の規制の対象としたところに大きな意義が認められる。インサイダー取引規制自体が,およそ重要事実を知った者すべてを対象とする規制であるように,情報伝達・取引推奨規制も同様に何人もがその対象となり得る規制として導入された。また,これに併行して,金融商品取引業者等に対する行為規制も新たに加えられた。
 本稿においては,何人もが対象となり得る金商法上の情報伝達・取引推奨規制に,さらに,金融商品取引業者等に対して加重して規制された行為規制について着目し,両規制の適用範囲の相違について整理し,その規制加重の意義について考察するものである。
 両規制は相当部分において重複するものの,総じて金商法上の情報伝達・取引推奨規制よりも金融商品取引業者等に対する行為規制のほうがその適用範囲が広いことを明らかにした上で,健全かつ公正な資本市場の担い手である金融商品取引業者等に対する役割の重要性から規制加重の意義を導き出すものである。

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