トップ  >>  出版物・研究成果等 >> 証券経済研究 2014年度 >> 第85号(2014年3月)

出版物・研究成果等

当研究所の出版物の購入を希望される方は、「刊行物購入について」をご覧下さい。

証券経済研究 第85号(2014年3月)

投資銀行とトレーディング業務

小林襄治(当研究所評議員・客員研究員)

〔要 旨〕
 投資銀行が多義的に使われている。伝統的な投資銀行が減り,業務が変化し,世界の大手銀行が「投資銀行」化しているからである。
 投資銀行(と言われてきた業者)の業務も歴史的に変化し,業界の構造(勢力図と競争関係)が変化してきた。1920年代には老舗と新興の投資銀行,商業銀行の証券子会社の競争が激しかった。投資銀行業務は投資銀行の独占業務ではなかった。1970〜80年代に,新商品や新業務の開拓で投資銀行の躍進が著しかったが,80年代末以降には大手銀行に買収される投資銀行が増えた。そして,トレーディング業務が収益の柱の1つになっていった。
 伝統的投資銀行業務(証券発行の引受と合併のアドバイザリー)については,ランキング情報が利用できるが,トレーディング業務については定義・範囲に曖昧な点が多い。ここでは主要5社のトレーディング収入を2012年アニュアル・レポートから比較する。トレーディング収入は,売買益だけでなく,関連手数料とトレーディング資産から得られる金利収入も含めて捉えるべきである。現代の「証券」流通市場の多くでは,ディーラーないしマーケットメーカーによる売買で市場が形成されている。トレーディングはこの市場形成そのものである。各社のトレーディング収入はトレーディング資産の規模にほぼ対応する。その規模を増やすにはそのための資本力とリスク管理能力による。この資本力と資金調達力において,大手銀行は独立の投資銀行より優位に立っているようである。

全文PDFダウンロード

Get ADOBE READER
PDFの閲覧にはAdobe Readerが必要です。

お探しの出版物が見つからない場合は「出版物検索」ページでキーワードを入力してお探しください。