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証券経済研究 第85号(2014年3月)

ニューヨーク証券取引所上場銘柄における取引市場の分散化と取引コスト
—実証研究を行った論文を長期間にわたってサーベイする—

福田徹(当研究所主任研究員)

〔要 旨〕
 本稿は,ニューヨーク証券取引所の分散化に関する実証研究を扱ったサーベイ論文である。特に,同証券取引所上場銘柄の取引コストに焦点を当てたものを中心にまとめている。
 以前からアメリカでは,ニューヨーク証券取引所の一極集中に対して市場間競争の必要性が証券取引委員会などの規制当局によって主張されており,規制当局や同証券取引所は様々な制度変更を行ってきた。それらの効果に加えて最近の情報化技術の発展によって,同証券取引所上場銘柄の取引コストは大きく変化を続けていたと想定される。従って,1960年代から,それに関する多くの実証研究が行われてきた。
 それらをサーベイすると,いくつかの事実を得ることが出来た。その1つは,規制当局による制度変更は,取引コストを引き下げるきっかけになったということである。もう1つは,ニューヨーク証券取引所での取引のネットワーク外部性はかなり強固なものであったと推察されることである。同証券取引所のスペシャリストは,彼らの収益の源泉である取引コストを若干低下させるのみで高い市場シェアを長期間にわたって維持できたと判断されるのである。そして,最後に挙げられるのは,情報技術の発展が最終的に同証券取引所のみのネットワーク外部性を破壊したということである。正確には,ネットワーク外部性が適用される枠組みを作り替えたと表現できるかもしれない。つまり,同証券取引所で完結していたものを,情報ネットワークで接続される他のPTSを含めた仮想的な株式市場へと拡大させたのである。

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