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証券経済研究 第84号(2013年12月)

米国における規制改革議論と包括的金融改革法の成立

若園智明(当研究所主任研究員)

〔要 旨〕
 米国で進められている金融規制体系の再構築は,2010年7月21日の大統領署名によって成立した,いわゆるドッド・フランク法を根拠とする。2008年に深刻化した金融危機が,米国規制体系の転換を促したことに異論はない。今回のシステム転換は,Glass-Steagall Actを代表例とする30年代の規制改革とも比較される。
 しかしながら米国では,金融危機が深刻化する以前から包括的な金融規制改革の必要性が認識されていた。Bush政権時代である2008年3月には,米国金融規制体系を根本から見直す青写真も提示されている。現Obama政権下で進む改革は,金融危機の再発防止を主たる目的としており,前政権時に指摘されてきた米国が抱える国際的な競争力低下や複雑かつ非効率な国内規制の問題への対処ではない。米国の金融規制体系の理解にとって,Bush政権の議論まで遡って理解することが必要である。また,ドッド・フランク法の成立過程を整理することは,新たな規制体系の構造的特徴を理解する援助となろう。
 本稿では,金融危機の発生の前後に検討されていた,Bush政権(危機前)とObama政権(危機後)における規制議論を比較し,ドッド・フランク法が成立するまでの過程とその構成について概観する。また包括的な金融規制改革法であるドッド・フランク法の成立過程を観察し,米国金融規制体系の構造的特徴の理解へと繋げる。

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