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証券経済研究 第83号(2013年9月)

マレーシアの債券市場と外国銀行—競争構造の実証分析—

山口昌樹(山形大学准教授)

〔要 旨〕
 本稿はイスラム債の興隆やアジア債券市場の育成といった文脈で注目を集めるマレーシアの債券市場を分析した。ただし,本稿は外国銀行の新興国への進出という研究潮流の中で本トピックを分析し,実証結果を評価した。分析課題は債券市場における競争構造を明らかにすることを通じて外国銀行の競争上の位置づけを確認することである。債券引受けの競争状況についてはこれまでリーグテーブルから概況をうかがうしかなかったが,本稿は個別案件のデータを利用することによって現地銀行と外国銀行,とりわけ欧米系銀行との差異を数量的に検証した。
 分析の結果,現地銀行と外国銀行,とりわけ欧米系銀行が幹事団に参加する案件の特徴が異なるという棲み分け構造が浮かび上がってきた。比較分析と順序プロビット分析とから観察した結果,外貨建て,国際格付け機関の格付け取得,公募発行である場合に欧米系銀行が積極的に参加することが分かった。こうした案件は海外での販売ネットワークを必要とするものであり,欧米系銀行は投資家への債券の販売力を生かした競争をマレーシア市場で展開していたことがうかがわれた。
 棲み分け構造が形成される要因として情報問題や信用リスクへの対応能力が現地銀行と外国銀行とで異なることが考えられる。現地銀行は融資取引での長期的な取引関係によって信用情報を蓄積し,債券引受け以外の取引を含む包括的な取引関係という情報収集の経路を有している。また,案件の収益性を評価するに当たって他の取引と合算した総合的な採算を考慮して引受けに臨むことができる。こうした対応は外国銀行には難しいため,情報問題や信用リスクが相対的に大きい案件を現地銀行が引受けていると解釈できよう。

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