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証券経済研究 第83号(2013年9月)

シャドーバンキングの金融仲介と規制強化の方向性

李立栄(早稲田大学大学院博士課程)

〔要 旨〕
 サブプライムローン問題に端を発した世界金融危機の要因の一つとして,近年のシャドーバンキングの発展が指摘されているが,その形成経緯についてはさまざまな議論がある。しかし,シャドーバンキングと伝統的な金融の仲介機能の関係は,必ずしも明らかになっていない。
 シャドーバンキングが金融のシステミックリスクをもたらした原因は,①規制監督が不備であり内在的に不安定性を有していたこと,②主要プレーヤーと銀行の相互依存関係とリスクの共有,③市場依存度が高く,ひとたび機能不全が生じると急速に世界中に伝播し,事態が拡大したことを指摘できる。これらの点を踏まえて金融安定理事会(FSB)が,2012年11月,新たな規制・監督案を公表した。その結果,①税制が複雑化し金融機関の対応コストが発生する,②金融機関の収益性が低下する,③金融仲介機能が低下し実体経済に影響が及ぶなどの影響が考えられる。
 本稿は,アメリカにおけるシャドーバンキングの形成過程について先行研究の成果を整理し,シャドーバンキングの構造と主要プレーヤー,その特徴や機能について分析する。これらの分析を通じて,シャドーバンキングと伝統的な金融仲介の違いを明らかにする。また,シャドーバンキングの拡大が金融システムの不安定化をもたらした問題点を整理し,それを踏まえた規制・監督の在り方について検討したい。こうした金融仲介の観点からシャドーバンキングの功罪(役割と金融不安定性)を講じ,これまでのシャドーバンキングに対する批判的な議論を見直す。

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