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証券経済研究 第81号(2013年3月)

日本の公社債投信の歴史と現状

杉田浩治(当研究所専門調査員)

〔要 旨〕
 日本の公社債投信は発足から半世紀を経過した。その推移を商品,運用対象,運用方法,組入れ債券の評価方法,販売・情報開示等に分けて追うと次のとおりである。
 商品については,61年に公社債流通市場がほとんど存在しない状況の中で「新発社債を中心に組入れて理論価格評価し,1年後の予想分配率を表示して販売する」という預金的商品でスタートした。この商品は「債券という流動性の低い価格変動証券を換金自由の貯蓄商品に変換した」と評価することができ,00年頃まで日本の公社債投信の主流を占めていた。その後,高金利期に取得価格または償却原価の債券評価を用いた数種のファンドがスポット的に設定される一方,MMFなど短期ファンドも誕生し商品バラエティを広げた。そして01年に組入れ債券を時価評価することが原則となってからは,国内の超低金利状態が続く中で外債に投資するファンドが主流となり,毎月分配型・通貨選択型ファンドが株式投信の形式で発足し今日に至っている。
 運用対象は,発足当初の新発社債中心から金融債・地方債,さらに国債・外債へと広がり,それに対応して組入れ債券評価方法は理論価格→取得価格→時価へと変動してきた。またディスクロージャーも,商品が貯蓄商品から投資商品(収益が運用実績に応じて変動する商品)へ移行するとともに開示内容が充実し,現在は株式投信並みとなっている。
 今後について,金融情勢を勘案するとグローバル投資が継続すると思われる。現在は外債運用を海外の運用会社に委託する投信会社が多いが,これからは少なくともアジア債について日本の運用会社がエキスパートになっていくことを期待したい。また制度面では,追加型のファンドが実質は公社債投信でありながら株式投信の形式で設定されている変則的状態から早く脱皮することが望まれる。

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