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証券経済研究 第77号(2012年3月)

「会社法制見直しに関する中間試案」と上場会社規律
―「公開会社法」を巡る論点との関係について―


横山淳(大和総研資本市場調査部制度調査課)

〔要 旨〕
 2011年12月,法務省法制審議会会社法制部会は,現行の会社法の改正に向けて,「会社法制の見直しに関する中間試案」(以下,「中間試案」)をとりまとめた。「中間試案」の内容は,あくまでも会社法の枠内での見直しであって,上場会社等に高度の規律を求める,あるいは会社法と金融商品取引法の「交錯」を調整するという,いわゆる公開会社法の実現を目指すものではない。もっとも,個別事項レベルで見ると,上場会社やそれに類する会社に対する独自の規律づけを行うという意味で,公開会社法的な性格を有する事項も少数ではあるが指摘できる。有価証券報告書の提出義務会社に社外取締役の選任を義務付ける,公開買付け義務に違反した買付者の議決権差止請求を他の株主に認めるといった提案がこれに該当する。
 もっとも,会社法と金融商品取引法とが「交錯」する分野は,これらに限られるものではない。上場会社に対する市場規律を徹底する観点からは,開示規制,ファイナンス規制,M&A規制など多岐にわたる分野において,会社法,金融商品取引法の両面から更なるアプローチが求められよう。
 なお,上場会社に対する規律付けとしてソフト・ローの役割に期待する声が大きい。筆者もこれを否定するものではないが,ソフト・ローを積極的に活用するためには,マーケットがその自浄作用を適切に機能させることができるような環境を整備することが前提となるものと考える。

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