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証券経済研究 第76号(2011年12月)

機関投資家と株式リターン
―大口株主の存在と機関投資家の役割―


山田隆(新光投信(株)運用2部パッシブ・クオンツチームリーダーファンドマネージャー・学術博士)

〔要 旨〕
 株式所有の機関化が進んだ米国においても機関投資家がどのような役割を果たしているかについて,実証研究の結果はまちまちであり,一致した結論は得られていない。従来の先行研究においては,機関投資家を主体とし,その投資行動(所有比率)のみに着目した研究が行われてきた。しかし,機関投資家によるモニタリング機能を中心としたガバナンス効果がどのように発現し企業価値に影響を与えているかを把握するためには,投資先企業の株式所有構造を考慮した分析,つまり,機関投資家以外の株主構成を考慮する必要性がある。とりわけ我が国の場合,株式持ち合いに代表されるように,株式リターンを純粋に得ることを主目的としない安定株主が大口所有していることが少なくないため,日本固有の株主構成を考慮した検証を行う必要があると考えられる。
 本研究の目的は,大口株主(ブロックホルダー)の存在に着目し,株式所有構造を類型化してその影響を考慮した上で,機関投資家の所有水準の大小および所有比率の変化が株式リターンにどのような影響を与えるかを実証的に明らかにすることである。検証の結果,機関投資家による所有は,企業のファンダメンタルズや経営者行動を通じて市場参加者の期待形成に影響を与え,超過リターンにプラスに作用するものの,大口株主の存在が超過リターンを引き下げる方向に作用している可能性が高いことを示した。

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