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証券経済研究 第76号(2011年12月)

日本企業における子会社MBOと親会社のパフォーマンス

大坪稔(佐賀大学准教授)
候博峰(佐賀大学大学院生)

〔要 旨〕
 本稿の目的は,日本の親会社がなぜ子会社MBOを実施するのか,について実証的に明らかにすることである。具体的には,親会社が子会社MBOを実施する動機として,親会社利益増大仮説,ダイベスティチャー仮説,負債削減仮説の3つの仮説を提示し,これらの仮説について親会社のパフォーマンスの変化に焦点を当てつつ実証分析を行った。
 その結果,つぎの3点があきらかになった。第一に,子会社MBOの実施年において親会社の会計上のパフォーマンスが低下する点である。さらに,子会社MBOの実施以降においてパフォーマンスの改善を示す結果が部分的ではあるものの得られた。第二に,子会社MBOの実施前後において,親会社の多角化度の低減,負債比率の低下,ダウンサイジングがみられる点である。さらに,このうちダウンサイジングが親会社のROAの改善に寄与するのに対し,多角化度の低減は寄与しない,負債比率の低下については反対にROAの低下をもたらすことが明らかとなった。第三に,子会社MBOの公表に対して親会社株価が全体としてマイナスに反応すること,さらにダウンサイジングを実施している親会社における子会社MBOについてのみプラスに反応することが明らかとなった。
 これらの結果より,日本の親会社がなぜ子会社MBOを実施するのかについては,親会社利益増大仮説とダイベスティチャー仮説が妥当すると考えられる。

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