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証券経済研究 第76号(2011年12月)

「法人関係情報」の範囲及び管理について(上)
―アメリカ合衆国における法制度との比較を通じた一考察―


小林史治(弁護士・筑波大学大学院博士後期課程)
萬澤陽子(当研究所研究員)

〔要 旨〕
 証券会社や銀行といった金融機関においては,顧客企業の法人関係情報に接する機会も多いため,「その取り扱う法人関係情報に関する管理又は顧客の有価証券の売買その他の取引等に関する管理について法人関係情報に係る不公正な取引の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じていないと認められる状況」に該当することがないよう,その業務を行わなければならないとされている(金融商品取引法40条2号,金融商品取引業等に関する内閣府令123条1項5号)。
 しかし,内閣府令における法人関係情報の定義は,「上場会社等の運営,業務又は財産に関する公表されていない重要な情報であって顧客の投資判断に影響を及ぼすと認められるもの」及び「公開買付け[や]…これに準ずる株券等…の買集め…の実施又は中止の決定に係る公表されていない情報」(同府令1条4項14号)とされているところ,一般的に,前段部分の「上場会社等の運営…に関する公表されていない重要な情報であって顧客の投資判断に影響を及ぼすと認められるもの」は,金融商品取引法166条2項に掲げられた重要事実よりも広い概念と説明される一方,その範囲は必ずしも明らかではない。
 また,ここでいう法人関係情報や,取引等に関する管理につき「必要かつ適切な措置」が何を指すかも一義的ではないと思われる。
 そこで,本稿では,行政当局による金融商品取引業者等に対する処分事例や,アメリカ合衆国における議論を通じて,金融商品取引業者等に求められる情報管理体制につき,実務上も関心が高いと思われる法人関係情報の範囲とその適切な管理について,検討を試みることとしたい。

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