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証券経済研究 第73号(2011年3月)

リーマン・ショックとFRB―金融危機と短期金融市場―

伊豆久(久留米大学教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕
 2008年9月の米国大手投資銀行リーマン・ブラザーズの倒産は,大恐慌以来最大の世界的金融危機をもたらした。本稿ではFRB(米国連邦準備制度理事会)の緊急対策を整理し,今次金融危機の性格の一端を明らかにすることとしたい。
 と言うのは,サブプライムローン問題が歴史的な金融危機となったのは,単に欧米大手金融機関が経営不安・破綻に陥ったというだけでなく,それがドル短期金融市場の機能停止という異例の事態を引き起こしたからではないかと考えるからである。
 すなわち,レポ市場を中心とする短期金融市場は,2000年代半ばの米国住宅バブル下において関連資産のファンディング市場として機能したわけであるが,とりわけ投資銀行にとってその役割は極めて大きかった。他方で,レポやCPなどの短期金融商品は,MMFの資金運用先であるため,そのデフォルトはMMFへの信頼を根底から覆す。しかしながらMMFやレポ等は決済システムの範疇に含まれないため,そこへの流動性供給は中央銀行の正当な業務とはみなされてこなかった。
 しかし,リーマン・ブラザーズの倒産がMMFの元本割れを引き起こし,MMFへの解約の殺到が短期金融市場を麻痺させたことから,FRBがMMFやCP市場に介入することになったのである。その介入とはどのようものであったのか,それは通常のFRBの金融調節と,また2007年夏からのサブプライム危機対策とどのように異なっているのか。さらには,金融危機が一旦収束した2009年以降続けられているMBSや国債の買入れにはどのような意味があるのか。  こうした政策の推移から金融危機の特徴を再検討すること,それが本稿の目的である。

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