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証券経済研究 第72号(2010年12月)

市場・取引所概念の再構築
―PTS規制の現状と課題に関する一考察―(下)


木村真生子(筑波大学大学院助教)

〔要 旨〕
 カナダのATS規則は,米国のATS規制のアプローチに整合的な規制枠組みを導入することだけに止まらず,証券規制を抜本的に改革するための原動力にもなっている。
 ところで,カナダのATS規制を解題するためのキーワードは「市場(marketplace)」の概念である。この概念は,市場運営者や市場参加者などを要素として切り分けてきた市場の概念を廃し,多種多様な取引の執行場所が共存する次世代市場を捉えようとしたものと位置づけることができる。
 論文の後半部では,前半部で述べた規則の概要を補充したあとで,規則全体の構造において中核をなす「市場」という概念が,規則細部の構成要素との関係でいかなる機能を果たしているのかにつき考察を加える。その後,私設取引システムに関する米国とEUの規制が,カナダの規則とどのような対照をなしているのかを考察する。具体的には,定義やその成り立ちをみることによって,各地域の規制主体が証券市場をどのように捉え,またこれを規律していようとしているのかについてみる。
 最後に,以上の考察から示唆を得て,今後のわが国のPTS規制の方向性について若干の検討を加える。

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