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証券経済研究 第70号(2010年6月)

サブプライム危機前後におけるアメリカ大手金融機関の収益構造

掛下達郎(松山大学教授)

〔要 旨〕
 2007-08年サブプライム危機前後における米大手金融機関(3大投資銀行とマネー・センター・バンク3行)の収益構造をみると,サブプライム危機の最中にも大手金融機関は投資銀行業務から収益を上げ続けている(例外はCitigroup)。投資銀行業務の中のトレーディング収益(保有期間が1年未満のポジションから得られた利益)が収益の1つの柱になっている(例外はCitigroup)。本稿では,引受・トレーディング・M&Aアドバイザリー業務を投資銀行業務のコアとした。投資銀行業務のコアの1つである大手のトレーディング業務が,引受・M&Aアドバイザリー業務とともに今回の金融危機の際には意外と持ちこたえている(例外はCitigroup)。こうした状態では,投資銀行業務から収益を上げている大手の経営が悪化することは少ないであろう。とくに,マネー・センター・バンクは,融資という銀行の強みと金融サービスの多様性によって,様々な金利商品のマーケット・メーカーとして大投資銀行より有利であり,これはトレーディング業務と密接に関連している。
 こうしたトレーディング業務のありうべきインプリケーションは,日本の大手金融機関は日本の企業風土に合わないM&Aアドバイザリー業務を投資銀行業務の柱にすることは難しく,その代わりに新しい金融商品を開発して,そのマーケット・メイクをし,トレーディング収益を上げていくことは魅力的と思われることである。

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