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出版物・研究成果等

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証券経済研究 第70号(2010年6月)

戦前期市場における株価維持機関

小林和子(当研究所主任研究員)

〔要 旨〕
 日本の戦後株式市場には自由市場であるにもかかわらず,脈々として株価維持・安定の政策を要求する思考が存在した。その淵源はどこにあるのか。
 戦前期の自由市場時代には個別銘柄先物取引で取引が集中した結果,市場が崩壊に瀕する事態がしばしば生じ,これを救済するために解合いの方法がとられた。自由市場の機能を回復するためにとられたのである。しかし,株価が戦前期のボトムをつけた昭和6年当時から,下落する株価の壊滅的な影響を緩和するために,株価維持・安定機関が形成されるようになった。昭和12年以降はこうした組織が数年に1度は形成され,次第に恒常化し,昭和16年,日米開戦を念頭に置くころには株式価格統制令が,17年には戦時金融金庫法,18年には日本証券取引所法というように,法令化されて,国家の政策として強力に打ち出されるに至った。法令化の背景は戦争遂行にあるが,政策担当者を含む市場関係者はその株価維持・安定化政策は平時の市場にも有効であると考え,戦後もこれを時折表面化させて市場を救済してきたといえる。本論文ではこれらの株価維持・安定機関の性格を,政府との関わり,主体,資金,効果の面で比較検討する。

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