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証券経済研究 第69号(2010年3月)

ポスト・レギュレーションNMS―アメリカ株式流通市場の現状―

吉川真裕(当研究所客員研究員)

〔要 旨〕
 2009年7月にアメリカではフラッシュ・オーダーをめぐる問題が物議をかもし,9月18日にSECはフラッシュ・オーダーを禁止する規則変更提案を決定した。その規則変更提案の中でSECはフラッシュ・オーダーと同様に問題のあるダーク・プールに関する規則変更提案を準備中であることを予告し,10月21日にはダーク・プールに関する規則変更提案を決定した。さらに,この規則変更提案の中でSECはフラッシュ・オーダーやダーク・プールと共通する側面を持つと考えられるハイ・フリークェンシー・トレーディングやコロケーション,ネイキッド・アクセスといった問題等を取り上げた株式市場構造に関するコンセプト・リリースを準備していることを明らかにしていた。そして,2010年1月13日,SECはネイキッド・アクセスに関する規則変更提案を決定した後,予告していた株式市場構造に関するコンセプト・リリースの公表を決定し,市場関係者にコメントを求めた。
 SECのコンセプト・リリースは大きな規制体系の変更を意図したものではなく,レギュレーションNMSのファイン・チューニングのために,どのような問題が存在するかを確認し,その問題に対する具体的な対策のアイデアを求めたものである。とりわけ,2005年のレギュレーションNMSの決定時点ではそれほど顕著ではなく,2009年になって問題となったハイ・フリークェンシー・トレーディングに関する情報提供を求めている。
 違法でない行為による絶え間ない利益の追求はイノベーションをもたらすと同時に,それが社会的にマイナスの影響を及ぼすとすれば規制の対象ともなる。イノベーションと規制のイタチゴッコとも特徴づけられるアメリカの株式市場は今も更なる進化の途上にあり,そのダイナミズムには目を見張るものがある。

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