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証券経済研究 第69号(2010年3月)

議決権代理行使を制限するNYSE規則改正

福本葵(帝塚山大学教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕
 アメリカにおいては株式の所有者が所有者自身の名義では登録せず,証券会社や銀行などの名義で所有するノミニー制度が利用されている。NYSE規則452では,慣例的な(routine)議案について,実質的所有者が株主総会の予定日から遅くとも10日前までにノミニーとなっているブローカーや銀行に特定の投票の指示をしない場合,ノミニーが実質的所有者に代わって議決権を行使することができることが規定されている。
 一方,non-routineの議案については,ノミニーの代理行使が認められていない。non-routineの議案とは,株主の権利や利益に大きな影響を与えるものである。具体的には,合併に関する決議,優先株式の発行や増加発行の許容,株主総会の定足数変更議案などがある。
 2009年の改正では,このnon-routineの項目に取締役の選任決議が加わった。これまで取締役の選任決議は,contestなものだけがnon-routineの事項として,ノミニーの代理行使ができない議案であった。今回の改正によって,取締役の選任はcontestであるか否かにかかわらずnon-routineの事項となり,実質的所有者からの指示がない場合ノミニーは自由裁量議決権を行使することができなくなる。

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