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証券経済研究 第65号(2009年3月)

国債流通市場と海外投資家の投資動向

岩井宣章(日本女子大学非常勤講師)

〔要 旨〕
 近時,わが国の国債流通市場において海外投資家のプレゼンスが高まっていると夙に指摘されている。それは市場関係者の実感であることも多い。
 公表データに基いて2004〜2007年度の海外投資家の投資動向を見てみると,海外投資家は国債市場いわゆる現物市場,そして先物など国債関連する取引市場と裁定取引など介して有機的な関連を有しつつそれぞれの市場において売買高とその市場におけるシェア等を大きく膨らませている。
 海外投資家は,それに伴ってそれぞれの市場の流動性や価格形成に大きな影響力を有するようになっている。この傾向は国債に関連する取引市場においては,一層顕著である。また,ヘッジファンド等の海外投資家による現物と先物間などの裁定取引の活発化を通じて国債イルードカーブの合理性も一層高まっているようである。
 海外投資家のプレゼンスの高まりとは,国債や国債に関連する流通市場も含め,こうした意味合いと捉えられる。しかし,このことはわが国国債流通市場等が海外投資家の投資動向の変化によって市場の流動性や価格水準が大きく変動する可能性を内包するようになったことでもある。
 2008年9月のリーマン・ブラザーズ社の破綻(2008年9月)以降,わが国国債市場は国債流通市場や先物市場において流動性が低下し,価格が乱高下するなど大きな混乱に見舞われている。それは国内外の信用の収縮が基本的背景であるものの,この間海外投資家の投資活動が大幅に縮小したことも大きな要因である。これまでの海外投資家を軸としたわが国国債流通市場の発展・拡大の歯車が逆回転したと捉えることもできる。

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