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出版物・研究成果等

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証券経済研究 第63号(2008年9月)

新規公開株式のプライシングにおける機関投資家の役割
―日本とアメリカの比較―


船岡健太(当研究所研究員)

〔要 旨〕
 新規株式公開における現行の価格決定方式であるブックビルディング方式では,価格算定能力が高いとされる機関投資家は,主幹事証券会社に対して新規公開企業の価値評価に関する情報を提供する等,重要な役割を果たすことが期待されている。アメリカでは,機関投資家は,情報生産に対する報酬としてアンダープライシングの水準が大きい新規公開株式の割当を受けていることが報告されている。
 本稿の分析においては,日本の機関投資家は,アメリカとは異なり,短期的なアンダープライシングが大きい新規公開株式の割当を多く受けている状況はみられず,新規公開企業の短期的価値に対してではなく,中長期的価値に対して情報生産を行っている可能性が高いという実証結果が示された。
 日本における新規公開時の機関投資家に対する割当比率は,アメリカよりも大幅に低い。機関投資家の新規公開市場への参加が少ない日本では,仮条件から公開価格が決定される過程において機関投資家の関与が低い。この仮条件から公開価格決定における価格調整において機関投資家の関与を高めることができれば,より正確な公開価格のプライシングが実現する可能性について指摘した。

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