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証券経済研究 第62号(2008年6月)

ノーザンロック危機と監督機関の対応

斉藤美彦(獨協大学教授・当研究所客員研究員)
簗田優(獨協大学大学院博士後期課程)

〔要 旨〕
 イギリスの大手銀行(前身は住宅金融組合)のノーザンロックは2007年9月に流動性危機に陥った。これは業容の急拡大を支える資金調達を証券化(MBS)や大口の市場性資金に頼っていたため,アメリカのサブプライムローン問題の余波を受け資金調達に行き詰ったのがその原因であった。これにたいしてイギリスの金融監督当局はイングランド銀行(BOE)がノーザンロックへ流動性供給を行う一方で,政府は預金者等の動揺を抑えることを目的としてその預金等を全額保護することを決定した。結局,2008年2月にノーザンロックは一時国有化されることとなった。ノーザンロック危機は,ドメスティックな営業を行っており支払い能力にはそれほどの問題はない金融機関においてもグローバリゼーションの進展している時代においては流動性危機に陥る場合があることを明らかにした。また一方で,イギリスの金融機関の監督,市場混乱時の中央銀行の資金供給のあり方,預金補償制度の妥当性等についての問題点を明らかにすることともなった。

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