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証券経済研究 第60号(2007年12月)

先物プレミアムパズルとリスクプレミアムの非対称性

佐藤綾野(新潟産業大学専任講師)

〔要 旨〕
 先物外国為替市場における効率性の仮説は,先物為替レートが将来の直物為替レートの最良予測値であるかどうかを巡って検討されてきた。しかしながら,多くの実証研究によると,先物レートは平均的には最良予測値ではないばかりでなく,先物市場でプレミアムが存在し,外国通貨の将来価値の減価を予想していると考えられるにも拘わらず,現実の為替レートの増価を導くといった,理論的には逆説的な実証結果が得られてしまうことが知られている。これは「先物プレミアムパズル」(以下FPP)と呼ばれ,現代国際金融論の未解決問題の一つである。
 本稿の目的は,FPPの原因としてしばしば指摘される,先物プレミアムの符号が負のときのみFPPが生じるという非対称性問題を取り上げ,さらにFPPの非対称性がリスクプレミアムに起因しているかを実証分析することにある。
 本稿では,まず第1に,1989年1月から2007年7月(あるいは2002年5月)の間,独マルク,日本円および仏フラン(いずれも1米ドル当たり)のFPPに,非対称性があることを確認している。第2に,GARCH-Mモデルによりtime-varyingなリスクプレミアムを推計し,その結果,FPPの非対称性の原因がリスクプレミアムであることを明らかにしている。

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