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証券経済研究 第60号(2007年12月)

復活するロンドン証券取引所の外国株取引

代田純(駒澤大学教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕
 本稿は,2003年以降にロンドン証券取引所で外国株取引が再び増加している現状を明らかにする。ロンドン証券取引所は1986年のビッグ・バン以降,外国株取引を増加させてきた。1990年代以降は,ロンドン証券取引所における株式の売買代金構成において,イギリス株を外国株が上回る状態が続いてきた。同時に日本株もロンドンで活発に売買されるようになった。ロンドン証券取引所における日本株取引増加の背景には,売買コストの他,不良債権処理問題もあったと指摘されてきた。
 その後,ロンドン証券取引所の外国株売買は欧州株も含め増加したが,同時に市場間競争にも遭遇した。そのひとつがトレード・ポイント(その後,スイス証券取引所と合併し,VIRT-Xとなる)であった。VIRT-Xは低コストや指値注文を背景に,ロンドン証券取引所のSEAQインターから取引をシフトさせることに成功した。VIRT-Xの成長を一因として,ロンドンのSEAQインターは廃止され,指値注文を取り込んだ市場改革を行った。
 2007年現在,ロンドン証券取引所の外国株取引は,ユーロSETS, IOB, IRS, ITBBなど4つの市場で売買されている。現在,国別に見ると,アメリカ株の売買代金が首位で,日本株がアメリカ株に次いでいる。この他,ロシア株など新興市場国の株式がADRやGDRによって活発に売買されている。2003年以降,ロンドン証券取引所の外国株売買代金は増加を続けており,復活したと評価できる。

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