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証券経済研究 第58号(2007年6月)

配当課税とNew Viewの検証

青柳龍司(流通科学大学講師)

〔要 旨〕
 本稿では,Old ViewとNew Viewという配当課税に関する2つの代表的見解についてサーベイし,その理論的前提や政策的含意の相違について考察した。Old Viewにおいては,新株発行を限界的な資金調達手段とみなしているが,この見解に従うと,配当課税は撹乱的であり,法人税と個人所得税との二重課税の調整が必要である。また,一般的には資本コストを上昇させるため,投資を抑制させる。一方,New Viewにおいては,限界的資金調達手段として内部留保を想定しており,配当課税はディストーションを発生させず,限界的には資本コストに影響を与えないことが確認される。
 次に,欧米における分析を参考に,日本の製造業の財務データに基づき実証分析を行った。果たして,現実の企業行動はNew Viewの考えに合致しているのか否かという点に焦点を絞り検討した。資本金別に成熟企業を分析した結果では,「企業は投資の資金調達を内部留保によって行い,配当を残余として配分する」というNew Viewの考えを概ね支持することができた。そのため,配当減税は投資促進に直結しない可能性があること,また統合問題は重要な論点とはならないという含意を得た。

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