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証券経済研究 第53号(2006年3月)

個人投資家の株式投資行動と株価に与える効果

米澤康博(早稲田大学大学院教授・当所客員研究員)
末本栄美子(QUICK情報部)

〔要 旨〕
 (1)VARを推計し,株価変動に対するインパルス応答関数を推計することによって,個人投資家が株価が上昇した場合,買いになるのか,売りになるのかを推計する。株価が上昇した場合に買い増す投資行動をpositive feedback,日本語で「順張り」,売り増す投資行動をnegative feedback,日本語で「逆張り」と呼ばれ,それぞれ特徴的な投資行動として知られている。
 一般に株価が一方方向に変化するバブル時を除くと,negative feedback戦略の方がより高い収益をあげることが可能であることが一定の仮定の下で得られ,一時期,外人投資家が典型的なnegative feedback投資家として知られ,その賢明な投資手法が評価されていた。それに対して,バブル時の機関投資家等は横並び的投資行動も手伝ってpositive feedback投資行動をとっており,それは一層のバブルを形成したと推測された。以上のような整理の下での個人投資家の投資行動を把握することは興味深いと思われる。
 (2)情報を持った投資家がその情報をある程度隠しながら売買が可能な場合には,その情報が一定期間後顕在化されることによって株価が変動するので,その投資家の売買行動とその後の株価変動は一定の相関を持ち,株価変動の要因はあたかもその投資家によってもたらされた様相を統計的に呈するのである。本論文ではこのような将来株価変動をもたらす効果を投資家の売買行動による「情報効果」と呼び,個人投資家はこのような効果を持っているか否かをVARの分散分解を計測することによって推計する。

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