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証券経済研究 第51号(2005年9月)

資料:不公正証券取引への制裁手続の国際比較

荒木知(OECD租税政策センター)

〔要 旨〕
 インサイダー取引や相場操縦などの不正証券取引は各国の証券取引法で禁止されている一方,その違反行為に対する制裁手続としては,刑事告発による刑事罰あるいは証券監視当局による行政手続を経ての行政罰など,複数のオプションがあり,各国ごとに制度を異にしている。
 しかしながら,証券市場のクロスボーダー化の流れを受け,不正取引に対する制裁手続もまた,国際的な調和の流れが見られる。具体的には,これまで検察当局による刑事手続を基本としてきた国が,2000年以降,主として迅速な処罰を可能にするため,行政手続による制裁金賦課手続を導入する傾向にある。
 本稿においては,欧米・アジアの主要市場における制裁手続の変遷の流れを概観することにより,上記のような国際的な流れを考察する。その結果,連邦証券取引委員会(SEC)が民事訴訟を提起する形式をとる米国を例外として,考察対象としたほぼ全ての国が刑事手続中心のレジームから行政手続との併用レジームに移行済であることが明らかになった。
 今後の課題としては,このような各国の行政手続がどのように透明性や公平性を確保して行くかについて,最近の動向を踏まえて比較検討する必要があろう。

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