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証券経済研究 第50号(2005年6月)

ポンドとユーロ:イギリスのユーロ参加見送りとマクロ経済政策

小林襄治(専修大学教授・当研究所理事)

〔要 旨〕
 1997年秋に労働党政権のブラウン蔵相は,単一通貨のメリットを認め,1999年の発足からは無理だが,経済的条件が整えばイギリスもユーロに参加するしそのための準備を行う,と発表した。イギリスのこれまでの政策からは一大転換であった。2003年6月にイギリス大蔵省は『イギリスの単一通貨加盟:5つの経済的条件の評価』を発表したが,ここでは経済的条件の評価を行い,1997年以降に大きな前進は見られたが,経済的収斂や弾力性はまだ不十分である,景気局面も相違するなどを理由に参加を先送りした。この理由の当否はともかく,このころまでにはイギリスの経済パフォーマンスはユーロ圏に比べて良好となり,イギリス経済の安定・堅実な成長がめだってくる。ユーロ参加先送りの理由には,経済的安定をもたらしたマクロ経済政策に対する自信がある。これは一言で述べると物価安定を図る独立の金融政策と健全財政(景気循環をつうじての投資の範囲内での赤字と持続可能な低水準の債務残高)である。さらに,ユーロ圏に比べてイギリスでは競争促進政策などを通じてそれなりに構造改革が進み,労働市場や製品市場の弾力性が増進したと見ている。イギリス政府(大蔵省)はこれらを武器に各種の機会を捉えてEUに政策を提言している。本稿では,まずイギリスとユーロ圏のパフォーマンスを比較する。次いで経済的条件の評価を紹介し,その後に各種の資料をつうじてイギリスのユーロ圏に対する政策上の立場を明らかにする。

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