トップ  >>  出版物・研究成果等 >> 証券経済研究 2003年度 >> 第44号(2003年12月)

出版物・研究成果等

証券経済研究 第44号(2003年12月)

エンロン破綻とフィナンシャル・ゲートキーパーの役割

佐賀卓雄(当研究所主任研究員)

〔要 旨〕
 エンロン社の突然の破綻は,規制機関であるSECや自主規制機関である証券業協会(NASD),証券取引所の役割を補完すべく期待されているフィナンシャル・ゲートキーパーがその役割を果 たすことができなかったことに尽きる。ゲートキーパーとは,発行体と投資家との間の情報格差を埋め,チェック機能を果 たす,引受証券会社,監査人,弁護士,格付け会社,証券アナリストを総称したものであるが,エンロン破綻,およびその後相次いだ不正会計処理の露見を契機とした資本市場改革の基本的方向性は,これらの機関の機能強化にある。
 しかし,問題の本質は,情報仲介者であるゲートキーパーのコストを誰が負担するかという事にあるが,これまでのところ,改革の取組みの中でそのことが,ほとんど議論されていない。このため,このままではフィナンシャル・ゲートキーパーの機能を弱化させ,資本市場を支える基盤を劣化させる恐れがある。したがって,引き続き規制の枠組み全体を再検討する必要性があろう。

お探しの出版物が見つからない場合は「出版物検索」ページでキーワードを入力してお探しください。