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出版物・研究成果等

証券経済研究 第34号(2001年11月)

株式会社相互持ち合いの解消と日本版401(k)の始動

代田純(立命館大学教授・当所客員研究員)

〔要 旨〕
 2001年度に入り,日本の株式保有構造を象徴してきた株式相互持ち合いが急速に解消されている。従来,持ち合い解消といっても,コア部分の持ち合いは継続されている,といった議論が多かった。しかし近年ではコア部分の解消も進んでおり,株式相互持ち合いは「解消」といった次元から,「崩壊」と言える段階に入りつつある。
 株式相互持ち合いが崩れつつあるなか,今後日本において注目される株主は,外国人投資家とならび,年金基金である。2001年6月には確定給付企業年金法と確定拠出年金法があいついで成立し,日本の年金基金をめぐる制度整備も進みつつある。
 日本の企業年金が近年,財政的に逼迫してきたことは事実である。2000年度には厚生年金基金のうち,過去最高の29基金が解散した。ただし最近の厚生年金基金の解散には,退職金制度改定といった要因も関連している。
 日本の企業年金をめぐっては,退職給付債務のオンバランス化が大きな課題となってきたが,この退職給付債務の圧縮のために,企業の持ち合い株式を退職給付信託に拠出する方法が多くとられた。また最大手の企業年金である日立が退職金制度の改革と関連して,確定拠出型年金導入を決定しており,今後年金が日本の株主として一層注目されよう。

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