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出版物・研究成果等

証券経済研究 第28号(2000年11月)

イギリスの金融サービス機構と消費者保護制度

春井久志(関西学院大学教授)

〔要 旨〕
 金融サービス・市場法(FSMA)に基づくFSAの規制・監督の目的は4つある。(1)金融サービス部門の信頼性維持,(2)金融サービスに対する国民の意識の向上,(3)消費者保護,(4)金融犯罪の減少である。このうち2つは消費者に焦点を絞ったものである。金融システムに関する消費者の理解を促進すること,および適切な消費者保護を確保することである。消費者教育は消費者保護のもっとも重要な要素である。また消費者教育は,充分な理解を持った消費者からの圧力の高まりにより,質の高い優れた金融商品を創出する商品開発を促進し,金融サービス市場の競争をいっそう促進することにも役立つ。
 新法は各種の金融サービス領域をカバーして来た既存の8つの紛争処理機関を代替する新しい単一の金融サービス・オンブズマン制度を準備している。消費者の苦情を効果 的に処理する制度の整備は適正な金融サービスに関する消費者保護を提供する上で不可欠の要素である。FSAは金融機関が苦情処理の効果 的な制度を整備していることを想定している。しかし苦情の処理がそのような方法で解消されると常に期待できるものではない。金融機関が支払不能に陥ったときに,消費者のためのセイフティ・ネット(苦情処理と損失補償)が準備されていることは金融システムに対する一般 的な信頼性と消費者保護にとって重要な貢献をする。

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