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出版物・研究成果等

証券経済研究 第17号(1999年1月)

超低金利時代の年金ALMに関する一考察―団体年金ポートフォリオ策定における国内債券占率―


山本信一(日本生命年金運用業務室課長)

〔要 旨〕
 現在,日本で行なわれている年金ALMでは,負債サイドの目標リタ-ンを5.5%近辺の絶対水準としており,資産サイドのリスク・リタ-ン分析によって長期基準ポ-トフォリオを決定している場合が多い。この手法に従えば,10年国債応募者利回りが1%程度で,多くの人が将来的な金利上昇を予想している状況では,団体年金ポ-トフォリオにおける国内債券組入比率を非常に低くするのが合理的となる。
 しかし,そもそもALMとは,資産・負債の両面を総合的に管理する手段である。米国のFAS87や我が国の「退職給付に係る会計基準の設定に関する意見書」では,負債の割引率は,安全性の高い長期債金利を基準に決定すべきであるとされており,この考え方に従うと,結果 が大きく変わってくる。即ち,検討課題はあるものの,長期固定金利負債である年金資金の長期基準ポ-トフォリオの中核は,超低金利時代においても国内債券となる。金利上昇を見込んだポ-トフォリオ変更については,短期基準ポ-トフォリオを長期基準ポ-トフォリオからある程度乖離させることによって超過収益を確保することによって解決すべき問題であろう。

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