トップ  >>  出版物・研究成果等 >> 証券経済研究 1998年度 >> 第16号(1998年11月)

出版物・研究成果等

証券経済研究 第16号(1998年11月)

テークオーバー市場の経営規律機能

柏木敏(東京研究所図書館部次長)

〔要 旨〕
 所有と経営が分離している大会社では,株主と経営者との間にエージェンシー問題が存在する。その原因は,株主と経営者では各自が保有する資産のリスクに対する態度が異なるためである。エージェンシー問題の解決法としては,インセンティブ報酬,取締役会のモニタリングなどの内部統制メカニズム,あるいは,債権者,株主によるモニタリング,経営者労働市場,テークオーバーなどの外部統制メカニズムがある。なかでも,テークオーバーは,最も強力な経営規律メカニズムであるといわれている。
 活発なテークオーバー市場をもつアメリカでの実証分析によれば,テークオーバーが非効率的な経営者を排除するだけでなく,取締役会のリストラクチャリングにも寄与しており,内部統制メカニズムを補完していた。内部統制メカニズムを有効に機能させることが難しいことから,テークオーバー規制は,経営者をその脅威から解放させることによりエージェンシー問題を悪化させるおそれがある。

お探しの出版物が見つからない場合は「出版物検索」ページでキーワードを入力してお探しください。