トップ  >>  出版物・研究成果等 >> 証券経済研究 1998年度 >> 第14号(1998年7月)

出版物・研究成果等

証券経済研究 第14号(1998年7月)

シンガポールの投資信託

丸淳子(武蔵大学教授・当研究所主査研究員)

〔要 旨〕
 シンガポールは経済発展が著しく,東南アジアでは最初に先進国入りを果 たしている。経済の中心である金融サービス産業を支える国際金融センターとして香港市場と競争しながら,他方で,経済成長とともに金融市場の拡大が目覚ましいマレーシアやタイの追随をうけている。アジア各国の証券市場は投機的な個人投資家や経済ファンダメンタルズを重視する海外機関投資家が主たるプレーヤーである。証券市場の拡大は機関投資家の重要性を増加させるが,アジア各国では国内の機関投資家は成熟しているとはいいがたい。それゆえ,各国の投資信託への期待は大きい。
 シンガポールでは,個人投資家の資産蓄積に強制的貯蓄制度であるCPF(中央年金基金)のウエイトが大きく,投資信託による資金蓄積・運用のウエイトは他のアジア諸国に比して小さい。しかし,最近2,3年の動きには変化がみられる。CPFから積立金を引き出して投資信託を購入する制度が強化されている。このような投資信託への投資の奨励の目的は,個人投資家の証券投資促進とともに,シンガポールの資金運用業務の強化である。とくに,香港に較べてファンド・マネージャーの質が低いといわれているので,その育成と質の向上を狙ってのことである。

お探しの出版物が見つからない場合は「出版物検索」ページでキーワードを入力してお探しください。